小便器の中のハエの絵


「すすき梅雨」とでも言おうか、よく降り続いた。昼まで降り続き、夕方には西の空が青空でひとまず、ほっとした。


一昨年2015年9月24日のクマさんの日記の一部抜粋だ。オランダ、ベルギーの旅行記だ。「最終日アムステルダムスキポール空港へ我々を送るバスの中で、ひょうきん者のおばさんガイドが真面目な顔をしてこんな話を始めた。同空港の、男子トイレの小便器にハエの絵を描いたところ、トイレの汚れが減ってそれまで年間7億円かかっていた清掃費が20%削減されたということだった。


              このハエを見ると、ほとんどの男性がこのハエをめがけて小水をかけようとする。便器の真ん中にハエがあることで小水をそこに誘導し、飛び散りを最小限にしてトイレの清掃コストを下げるための工夫だということだ。好奇心旺盛なクマさん、試射してこのような写真も撮って来た。」


きのう16日の中日夕刊「夕歩道」欄。ノーベル経済学賞に関する記事だ。難解な事柄を素人が抜粋するなんてことは、ノーベル賞に対して失礼なこと。記事そのままを引用させてもらおう。



「人々の意思決定をいかに誘導するか。今年のノーベル経済学賞のセイラー教授が提唱したキーワード「ナッジ」は本来、そっと肘で突いて注意をひくこと。具体例を教授の著書から引用すると・・。


例えば、アムステルダム国際空港の男性用小便器。排水口近くにハエの絵を描いたところ、飛び散りが80%も減った。と。声高な注意が命中率を向上させるのではない。秘策は世界中に広まった。行動経済学は、合理性だけでは説明できぬ人間の行動を解明する学問分野だそうな。」




ガイドの案内で興味を持ち、わざわざ写真を撮って、日記にカキコしたことが、ノーベル経済学賞受賞者の著書に例示されたことと同じこと。それを思うと何だか嬉しくなる。「それが、どうした?」と冷めた目で、のたまう輩もいるだろう。


ええ歳こいたおっさんがグリコのおまけのおもちゃを集めて嬉々としているのも、川釣りで、釣った魚を川に戻して自己満足している奴もクマさんのやっていることと五十歩百歩だ。合理性だけでは説明できない行動を実践しているのだ。