一翔入魂


朝からどんよりとした寒空。いかにも寒の内らしい一日だ。今週の火曜日、夕陽が沈む写真を撮った時、何年も前に日航の内紛を描いた映画「沈まぬ太陽」を見たことを思い出した。そして、きのうの新聞にこんな記事があった。「日航は乗務員の飲酒問題で12月21日に事業改善命令を受けたばかりのところに今回は女性客室乗務員が機内で飲酒した問題で、11日飲酒に関する管理体制を見直すよう業務改善勧告を受けた」。



10年前の09年10月18日のクマさんの日記はこんなカキコをしている。以下その抜粋。
山崎豊子原作の映画「沈まぬ太陽」の試写会を名古屋で見てきた。渡辺謙主演。日本航空(JAL)をモデルに昭和60年の日航御巣鷹山墜落事故を軸に労使紛争、経営陣の内紛を描き、その中で企業の不条理に翻弄されても絶対に諦めなかった渡辺謙演じる元労働組合委員長の仕事、家族、人生を描いている。


今、時の話題となって「沈まぬ太陽」どころか沈みそうになっているJAL、まことにタイミングよくこの映画が24日から公開される。「山崎豊子の小説をもとに映画化したフィクションです。登場人物、団体はすべて架空のものです。」と断り書きがあるものの、誰が見てもJALを描いている。人間ドラマの部分はフィクションだろうが、ストーリーの大筋の展開はノンフィクションだろう。国策会社として設立された当時からのウミがいまだに出し切れてないことがよくわかる。



この映画が公開された翌年2010年に会社更生法を適用して破産。新・経営の神様稲盛和夫氏率いる新経営陣の下で2年後には見事に株式再上場を果たしている。’18年7月現在では世界300余りの航空会社の格付けで最高位の5つ星を獲得するところまでになっている。稲盛氏は「人生で一番大事なもの」は「人間力・仕事力を高める 」と説く。


沈まぬ太陽」が経営破たんで沈んでしまったが、経営の神様の離れ業で「陽はまた昇る」ところまでになった。日産がゴーン会長の手腕でV字回復したのと似ている。日航も日産も決算書類上の回復は確かに果たしたが、日産で云えば経営者の「人間力」が高まっていない。日航で云えば、働く者の仕事力(使命感・責任感)は旧態依然としているのではないだろうか。「一球入魂」ならぬ「一翔入魂」を日航の社員に期待したい。