豊田市自然観察の森

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台風一過爽やかに晴れ上がった。日の出直後の北東の空にイワシ雲。いかにも秋の空だ。生涯学習講座「ふるさとの自然」は豊田市自然観察の森。豊田市中心市街地の東方約4kmに位置し、標高70〜140m、面積28.8ha。平成2年開設。中心施設であるネイチャーセンターの他、自然散策道や休憩舎、探鳥用ブラインド等の施設が整えられている。ふたりのボランティアガイドさんの案内で15人の受講者が2班に分かれて森や湿地での約2時間の自然観察。



藤岡の緑化センターがすべて植生されたものに対してこちらはすべて自然のままというのが売りであるようだ。ガイドさんは、自分の専門分野であるらしく社会問題化している”ナラ枯れ”について熱っぽく語った。身近なところで、紅葉の時季でもないのに赤茶けたナラ類の木々に接しているだけに興味深く聞き入った。



昭和30年ごろまでは人々の生活と密接に結びついた里山があり、まきや炭、シイタケのほだ木として利用するため植えられていたナラ類には、15〜30年で順序よく伐採されるサイクルがあった。しかし、その後の燃料革命で需要は低下。木を切る人はいなくなり、里山はほったらかしに。ナラ類(ミズナラ、コナラ)は、幹が太くしわが入る老木になると、カシノナガキクイムシ(略してカシナガ)が取り付きやすくなる。同様の事情で各地の山々の木が一斉に高齢化したため、被害が急拡大したとみられている。とのこと。



カシナガは体長1cm以下。オスが木に穴をあけ、メスが卵を産み付けて水を吸い上げる管をふさいでしまうために2ヶ月ほどで枯死してしまう。ビニールシートで幹を被覆したり、天敵の微生物を使って駆除する技術を開発しているが、ナラ枯れへの根本的な対策法は確立していないらしい。


13億の民の国に領土を奪われかかったり、1cm以下の虫に緑の山を赤茶けた色にされてしまったり、これらはいずれも「平和ボケ」が起因しているのではないだろうか。