先見の明あるH君

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季節の移ろいを花によって知らされる。風流人ならずともフツー人を任じてやまないクマさんでさえ、それくらいの感受性はあるつもりだ。梅雨入りして、昨夜からの雨が今朝まで残っていた。アジサイと書くより紫陽花とした方が風情がある。その紫陽花が色づき始めたと思ったら、やはり梅雨入りだ。なぜかしら紫陽花は雨が似合う花だ。紫陽花で季節の移ろいを感じる。



先月末小中学校の仲間で城崎温泉に旅行した時のことだ。多治見の郊外でコンビニを3店舗経営しているH君の話。コンビニに新鮮な野菜があったらという客の声がかなりある。一方で、昔は農協を販路として大規模に野菜を作っていたが、今ではそんな元気もなくなった。小遣い稼ぎ程度の販路があるといいという農家の人の声がある。そこで、ウチの店舗で扱ってやったら双方から喜ばれている。


「スーッと出て、パッと消えるのがスーパーだ」半世紀前誕生したばかりのスーパーマーケットは、そう揶揄されたものだ。だが年を追って、トップランナーであるダイエーは百貨店の雄三越から小売業として売上高日本一の座を奪った。大量仕入れやセルフサービスで消費者を味方につけたスーパーにもやがて陰りが見えてきた。衣料品や家電専門店に安さで押されて行く。食品部門では必ずしも安くないが、時間を大事にする現代人はコンビニに流れ始めた。スーパーはコンビニにも押され始めた。


2,3日前の中日新聞の経済面に載っていた。コンビニとスーパー「Aコープ」を融合させた全国初の店舗「ファミリーマートAコープいよ店」が四国の伊予市にオープンした。既存のスーパーを24時間営業に切り替え、コンビニで扱う商品を多く取りそろえることで、集客力の向上を目指すとのことだ。


戦国時代同然の小売業界。一日たりとも安閑として暮らすことは許されないだろう。親から家業のガソリンスタンドを引き継ぎ、コンビニに転業、3店舗に増やしたH君。今の業界の流れをいち早く読み取り、なかなかフットワークがいい。