新幹線と欧州高速列車


北緯59度の北欧ストックホルムで拾ってきた風邪も、帰国して9日目に北緯1度と赤道直下のシンガポールにやってきたらすっかり治ってしまった。初めて訪れたシンガポール。巨大なビルが立ち並び、ゴミひとつ落ちてない美しい街並み。街に出てわかるのは、漢字と中華料理の氾濫。華人の街だと気づかされる。


それにしても、セブンイレブンはすごい。ストックホルムの随所で見かけた。ここシンガポールでも。いまや、スタバ、マックに迫る勢いではないか。名古屋市内のセブンイレブンの店舗数よりシンガポールの方が多いのではないだろか?


シンガポールのことは別の機会にカキコするとして、昨夜のテレビのニュースで新幹線を運行しているJR4社連合が世界に新幹線を売り込むための国際会議をしているところを放映していた。先日の欧州鉄道旅行で日本の新幹線と欧州の高速列車の違いを体験してきたのでクマさんなりのまとめをしてみた。それにしても、画像を失ったのは痛い。4年前の欧州旅行からの引用だ。


 
ジュネーブからパリ・リヨン駅まで乗ったTGV。2010年4月


日本の新幹線と欧州の高速列車で根本的な違いが2点ある。ひとつは、専用の線路を走る日本(山形・秋田新幹線は除いて)。在来線の線路を走る欧州。二つめは、動力分散電車方式の日本。動力集中機関車方式の欧州だ。


専用線を走れば1時間当り15本の輸送力も可能な上、正確な運行ができる。その代り、新しく建設するためコストが高くつく。電車方式の新幹線は16両編成のうち14両が電動車。機関車方式の欧州では機関車1両で10何両かの客車を引っ張る。日本式の方がコストが高くつくことは素人でもわかる。


パリ・リヨン駅からミラノまでTGVに乗った。途中フランス第2の都市リヨンまでおよそ500km、2時間ちょっと。新幹線で東京・大阪間とほぼ同じだ。飛行機だと約1時間。客の争奪戦も激しいようだ。1等車だと菓子と飲み物のサービスもある。リヨンを過ぎるととたんにスピードが落ちる。在来線列車になるのだ。これが、欧州の高速列車だ。


 
ドイツ・ハンブルグ駅 2014年10月    パリ・北駅 2010年4月

こうしてみると、既存の施設・設備を活かしながら高速鉄道網をめぐらしてきた欧州と戦前から”弾丸列車”構想はあったものの、戦後復興の象徴として大量高速輸送網を新たに建設した日本とは生まれも育ちも違っている。それぞれの方式に利点も欠点もある。


日本のネライ目は航空機輸送や高速道路から客を奪い返す余地のある都市間輸送に適した米国やブラジルではないだろうか。あるいは、マレーシアやシンガポールなどと云った新興国もうかうかしていると中国にやられてしまいそうだ。世界の中には日本方式に適した立地、欧州方式に適した立地があると思う。