アンコールワットとアンコールトム


寒暖入り混じる弥生の空。きのうの日記には「いっきに春へとジャンプ・・・」とカキコしたのにきょうは「だまし絵にだまされ、うっすら雪化粧の白川公園へ・・・」とカキコしなければならないような日になった。


生涯学習講座「素敵な午後の美術館散策」は名古屋市美術館。企画展は「だまし絵」。感想は後日としよう。きょうの雪、きのうの梅、桜桃、それでも一雨ごとに半歩、一歩と春は近づいている。話は春からいっきに飛んで酷暑のアンコールワットに戻そう。



9世紀から15世紀にかけてインドシナ一帯を制圧したクメール王朝の首都に関連する遺跡群がアンコール遺跡群と云われる。その代表的な遺跡が「アンコールワット」と「アンコールトム」。今から150年ほど前、日本の年代で云えば明治維新の頃までその存在すら知られていなかったそうだ。いづれシェムリアップの中心から7kmほどの距離にある。


アンコールワットヒンドゥー教、アンクルトムは大乗仏教の影響が強い。アンコールはサンスクリット語で「町・都城」をワットは「寺院」をアンコールトムは「大きな町」を表すそうだ。顔写真付入場料は点在する各遺跡共通。3日間通用で40ドル。購入時に顔写真を撮る。



学術的な知識のない我々にとって、さまざまな自然条件によって表情が変わるアンコールワットを見るのもひとつの見方だろう。例えば、聖池に映る逆さアンコールワットとかサンライズアンコールワットというように。回廊のレリーフは実に表情豊かで、絵巻物の世界だ。





王朝最後の栄華を誇った都市の跡がアンコールトム。12〜13世紀にかけて創建されたと云われている。総延長12kmにも及ぶ濠と城壁に囲まれている。写真はアンコールトム5つの門の中で最も美しいと云われている南大門。四面像をてっぺんに配し、高さ23m。


車1台が通るのがやっとの幅のこの門を車が通行できるようになっているので、平日にもかかわらず大渋滞。



周囲12kmの城壁に囲まれたアンコールトムの中心にあるのが写真のバイヨン寺院。内部には”クメールの微笑”をたたえた巨大な四面像がある。(写真 下)





王朝が滅んで4百年も5百年も誰に知られることもなく廃墟となっていたものが、偶然150年ほど前に発見されたこと自体謎である上、紙のない時代で古文書が残っているわけでもない。謎が多いだけに、遺跡を見る者にいろいろと想像力を掻き立てさせてくれるアンコールワットだ。