ワルナスビに思う


梅雨明け以後の暦の上でいう立秋までの夏の最後の日々が、本当の夏の盛りといえるだろう。自然界のエネルギーがみなぎりあふれる時季だ。そんなエネルギッシュな盛夏を象徴するかのように、ウチの前の歩道のつつじの植え込みの中で1本だけ背丈ほどの高さのアメリデイゴが今年も咲き出した。鮮やかな赤い色のエキゾチックな花が枝先にいくつも咲いている。



世界各地で起きるテロや銃の乱射。理不尽な信条を力で押し通す排除の原理が、ついに我々の身近でも暴発した。安全安心な日本でまさかの暴発だ。一度動き出したこの動きにストップをかけることは至難のワザだ。


こうした現象は人間社会だけでなく、植物の世界でもあるのだ。先だっての日曜、家庭菜園一斉総出の草刈の日。草刈り機で刈られた雑草を一輪車に載せる際、両手でつかんだ草の中にワルナスビがあって、その鋭いトゲを握ってしまった。痛いコト、痛いコト。



このワルナスビという雑草、道端や畑の土手で群れをなして生えている。花は白または淡青色。雑草といえどもナス科ナス属の名門出だ。だから同科のナスやジャガイモの花によく似ている。春から秋まで咲き続ける。果実はプチトマトに似ているが有毒で食用にならない。家畜が食べて中毒死することがあるそうだ。茎や葉に鋭いトゲが多い。


種子が家畜の糞などに混じって広がり、繁殖力が強い。おまけに除草剤が効きにくい。一度生えると完全に駆除するのは難しいそうだ。何かひとつくらいいいところがないか、ネットで色々調べても何一つ見つからない。「名は体を表す」通り、相当悪い奴だ「ワルナスビ」。



ただひとつ、思い出した。接ぎ木のナスの台木になるという話を聞いたことがあるが、真偽のほどは不明。いずれにせよ、「ワルナスビテロ」と云って、ワルナスビが意図せず繁殖してしまったことを指したり、「絶対に植えてはいけない生物兵器級の危険植物一覧」のAランクに竹とともにワルナスビがランクインされていたりで、ワルの大物だ。



難しいことはわからんが、人間も植物も「生きとし生けるもの」みな平和であってほしいものだ。