幸せの国 ブータン


台風16号が過ぎ去った後の爽やかな秋空を期待したが、相変わらずの曇り空。まるで、梅雨時の天気のようだ。この重苦しい空気を破らんかなと、きのう9月20日の誕生日の花はヤブランラジオ深夜便は伝えていた。今年のウチのヤブランは色があまりよくないので、去年のものが代打出場。


生涯学習講座「幸せの国 ブータン」3回講座の1回目を受講。講師は豊田在住の36歳の女性ヤンゾン・ディッキーさん。豊田で英会話教室とネパールレストランとブータン旅行専門の旅行社を経営している。


5年前同国の国王夫妻来日をきっかけに「幸せの国」として関心が高まっているのにもかかわらず、パック旅行なども設定されていない国なのでぜひ話を聞きたく受講した。




生涯学習講座でいままで10ヶ国に近い国の紹介講座を受講しているが、講師は母国で日本語を学び日本に留学した経験者とか日本人がその国に留学した後長期滞在した経験者が講師だった。ブータンと隣り合わせのインド、ネパールの講師はいずれもカースト制度の上から2番目、いわば支配層の人達だった。                  


今回の講師は、日本語もわからず国を飛び出して出稼ぎに来た人。今までの講師はどちらかといえば上から目線の講師がほとんどだった。その点、彼女は我々と同じ庶民目線の講師だった。庶民の生活ぶりなどがよくわかる反面、問題点の掘り下げが足りず物足りない面があった。その分、自分で調べて、考える手がかりを与えてくれた。




今までの各国の講座ではたいてい講師が、インターネットのウィキペディアにあるその国の基本情報的な資料をはじめとする資料を用意してくれた。今回はなし。スライドが主だった。自分で調べた。人口70万人。首都ディンプー、通貨ヌルタム(Nu)100Nu=150円 公用語ゾンカ語(学校では国語以外はすべて英語) 主産業 農業


メインのテーマは「ブータン人にとって幸せとは」。講師は9人兄弟の三女。父親とは生き別れ。母親が女手一つで9人の子どもを育てた。父親がいないことがバネになって、大学進学を断念し、自分が外に働きに出て家族を助けることを決断した。豊田の英会話教室では弟と従弟が講師をしている。


講師がブータン旅行の引率者で行ったとき、現地では現地の親せき家族が総がかりで日本からの旅行者をもてなした。その風景のスライドをまじえながら家族を大切にすることがみんなの幸せ、国民の幸せにつながると熱っぽく語っていた。



体験に基づく説明には説得力はあるが、理論的には物足りなさがある。そこで、帰宅して調べた。今、個人消費や設備投資から成り立っているGDP(国内総生産)が国際社会の中で国や国民の評価・比較・位置付けする一般的な手段となっている。


これに対しGNH(国民総幸福感)は 1.心理的幸福、2.健康、3.教育、4.文化、5.環境、6.コミュニティー、7.良い統治、8.生活水準、9.自分の時間の使い方の9つの構成要素から国民全体の幸福度を数値化したもの。2013年現在、ブータンではGNH達成が目標として掲げられつつもいまだ実現には至っていない状態にある。


ブータンの工業化が進み、モノがあふれるようになったとき、人々の幸せの感じ方の尺度がどう変化するだろうか?