すすきの戦争


多少うす雲が広がる程度で爽やかな秋晴れの一日。きのうに引き続きセイダカアワダチソウの登場となったが、それなりの理由があるのだ。ウォーキングの同行者からこんな発言があった。セイダカアワダチソウ、あたり一面森のように生い茂っているところもあれば、ススキの陰でひっそり、ほそぼそと群生しているものもあるから不思議だと。


そこで、クマさんの出番となった。いつだったか、「季節の花めぐり」で資料と共に説明を聞いたところなのだ。セイダカアワダチソウとススキの「仁義なき戦い、すすきの戦争」なのだ。まずは、セイダカアワダチソウの驚異の繁殖力と化学兵器の説明からはじめた。


1本で5万個もの種をつけ、1平米に100本の密度で生える。つまり、1平米で500万個の種をつける。これが風によって散布される。そして、根には 植物の発芽・成長を阻害する物質が含まれており、その分泌によって、周囲の植物を攻撃する。 セイダカアワダチソウと同じ環境に生えていたススキは、 この化学兵器にやられて、一時期どんどん制圧された。



ところが、「過ぎたるは及ばざるがごとし」とはよく言ったもので、この毒は強すぎて、自分達の成長も抑制してしまう。 一方、ススキの方も成長速度を上げることで、セイタカアワダチソウの毒への耐性を獲得し、かつてのススキと一味違う巨大化した超ススキを出現させることで 逆襲がはじまっている。それが、上の写真だ。すすきの戦争の実態が垣間見える。


外来種セイダカアワダチソウに対抗する在来種ススキには「秋の七草一家」のよしみでクズという援軍があって共同戦線をはっている。クズの根はセイタカアワダチソウの毒が届かない深いところまで伸びて覆って行く。ついには、クズ自身の葉の重さと光の遮断で成長ができなくなり、 セイタカアワダチソウは枯れてしまう。


ススキは、クズがつるを伸ばして広がっても 背の高い葉をその隙間から伸ばしているので、 さほどの影響も受けないという訳だ。セイダカアワダチソウとススキの「仁義なき戦い、すすきの戦争」お粗末な一席でした。おあとがよろしいようで・・・。おあと? そう、札幌はすすきののネオン街での一席がよろしいようで・・・。