消えたチョウセンアサガオ


台風5号は夜半に滋賀県から福井、北陸方面に駆け抜けた。この地では庭や畑の作物の支柱が倒れた程度で大した被害もなくほっとした。


5年前の2012年8月2日の早朝ウォーキングの際、丘陵地の畑の片隅で花径が15cmもある花(右の写真)とテニスボール大でチクチクのあるその種らしきもの(写真左下)を見つけた。その花は夕顔のような気がするが自信がなかった。


当日のクマさんの日記にはこうカキコした。「内向き志向のひとりパソコンに向かってのネット検索も時間の浪費だけだ。ここは、ひとつ外交力で多治見の夕顔の君、shionさんが回答を寄せてくれるのを期待しよう」。彼女からのコメント「この齢で「夕顔の君」はちょっと恥ずかしいです。写真の白い花、朝鮮朝顔ではないかと思いますが・・。実は綺麗な緑色で、確かにチクチクがあったと記憶しています」



晴れて正式な名前をもらった三好丘のチョウセンアサガオは以後、毎年7月下旬から8月中旬ころまで咲き続け、クマさんの日記でも写真をアップした。おととし2015年の夏からまったく見られなくなった。2014年7月16日の日記にはその畑で作業中の地主さんから聞いた話などもカキコしていた。


「えっ、これがチョウセンアサガオかね。それは知らなかった。この畑は空き地が多いので、種が飛んで来ていついてしまったようだね」確かに、ここの畑は空き地が多く、牛糞が山のように積んであり、そこにチョウセンアサガオが10輪ほど点々と咲いているかと思えば、草むらの中でも咲いている状態だ。



畑の牛糞の山の傍らで咲いているのは、何となく場違いの感じがするほどの上品さがある。このチョウセンアサガオは花の上品さに似合わず相当なくせ者なのだ。薬用植物であると同時に毒性植物でもある。薬用の代表例は江戸時代の医学者華岡青洲がこの薬草の主成分から精製した麻酔薬で日本で最初の全身麻酔をして乳がんの手術をした。有吉佐和子著の小説「華岡青洲の妻」で有名になった。     


キチガイナスビ」といった別名を持つように毒性の代表例がある。オウム真理教が信者を洗脳、自白させるための薬物原料にこの薬草を使った。チョウセンは特定の地域を表すものではなく、単に海外から入ってきたものの意味とされる



チョウセンアサガオの近縁種にキダチチョウセンアサガオ属のエンジェルトランペツトがある。草で花が上向きに咲くチョウセンアサガオ、木で花が下向きに咲く違いがある。よく似ている。チョウセンアサガオはめったに見かけないが、エンジェルトランペットは園芸種でわが家でも10年位前に植えていたことがある。近隣の農家でもよく見かける。


先日カキコした「山まゆ」同様「チョウセンアサガオ」も三好丘が居つくには適さない環境になってきたということだろう。たぬきを三好丘の街中で見かけるようになったのは、熊やいのししが里に下りてくるようになったのと同様、本来彼らが居ついている所が棲みにくくなったということだろう。「人間ファースト」だとこういうことになる。「生き物ファースト」へと識者はいうだろう。「言うは易し、行うは難し」だ。