松山千春の「神対応」


きのうの「処暑」が過ぎて、やっと夏らしい天気になった感だ。周回遅れの季節の巡り合わせとでも言おうか。一方こちらは、周回遅れどころかフライング気味の季節の先取りではないだろうか。ラジオ深夜便の伝えるきょうの誕生日の花がカラスウリの実なのだ。どういうわけで、この時季に選んだのか、ねぼけの状態で聞いていたので聞き漏らしてしまった。




20日、歌手の松山千春の機転を利かせた行動が話題となっている。きのうの朝日新聞天声人語産経新聞産経抄が期せずして取り上げていた。同日の昼、出発を待っていた新千歳空港伊丹空港行きの全日空機は、Uターンラッシュの混雑で1時間以上も遅れていた。


松山は機長の許可を得た上で、機内放送用のマイクで「いらだつでしょうが、みんな苦労していますから待ちましょう」と語りかけ、彼の代表曲を披露して待ちくたびれた人たちの心を和ませたという。天声人語では通信機器の進歩により「待つこと」が消えつつある現代に松山の行動を照らし合わせ「待つことの悦び」を語っていた。




産経抄ではアメリカの女性歌手シンディ・ローパーは大の親日家で東日本大震災の際、日本公演を敢行して被害者を元気づけた。松山も同震災の時「知恵がある奴は知恵を出そう。力のある奴は力を出そう。金がある奴は金を出そう。何も出せない奴は元気を出そう」とメッセージ出した。                                         


奇しくもその彼女が6年前、アルゼンチンの空港で今回の松山と同じような対応をしたことを産経抄は紹介。ネット上で松山に寄せられた称賛の声「神対応!」を改めて、彼女にも贈りたいと結んでいた。



「待つ」ということは、マイナスイメージだ。待ちくたびれた人たちに松山やシンディー・ローパーの歌が心を和ませるというプラスイメージに変えたのだ。旧ソ連時代にモスクワに駐在した人が何かに書いていた。食料を配給で買うのには行列だ。いわく。行列自体は「悪」でも、それはそれで近隣の住民の「つどいの場」でもあった。と。


2005年6月16日クマさんの日記。愛知万博に行ったときの一部抜粋。パビリオンに入る行列でのおばさんウォッチ。初対面同士でも旧知の人同士のごとき会話。平均寿命の男女差からいって、夫を見送って6,7年はひとりで生きて行かねばならないおばさん達のパワーの源泉こんなところにあるのでは・・・。それに引き替え、おじさんたちはシャイだ。


松山の言を借りれば、「おじさんたちは元気を出そう」だ。