トンボの目


きのう一日中降った雨も上がり、明るい日差しの朝を迎えた。ただ、風が冷たい。雨が運んで来た冷たい風だ。一雨ごとに近づく冬の足音だ。11月も半ばのきょう15日の誕生日の花はミゾソバラジオ深夜便。水辺に生え、群生するこの草、生命力旺盛だ。写真は豊田の自然観察の森の池の水辺で撮ったものだ。


花はピンク色、米粒のような形で枝先に密集する。茎に小さなとげがあるがさわってもあまり痛くない。名前の由来は、溝などの栄養分が豊富な湿地に群生し、花と葉が蕎麦(そば)に似ているところから。とのことだ。


加計学園獣医学部の来春の開学が決まった。そして、きょうから国会の文科委員会審議が始まった。この件に関する、これまでのメディア報道を野次馬的に見ていると、「権力批判こそ正義」派の朝日、毎日、中日(東京)と「体制支持傾向」派の産経、日経、読売というように真っ二つに分かれている。


権力批判派は、早期開学を認めるよう官邸幹部から圧力をかけられ、行政が歪められたとの証言を中心に政権批判を展開していると見受けられる。一方の支持傾向派は、首相は国会で国民に説明を尽くす責務があることは当然。その上で、既得権者と官僚組織が守ろうとしている岩盤規制を打ち砕く国家戦略特区をもっと機能させるべきだ。クマさんには、こんなふうに読み取れる。



病気の診断でセカンドオピニオンの重要性が説かれるが、社会現象でも一つだけの報道に偏っていると本当の方向性を見失ってしまうことが往々にしてある。加計学園の報道もそうした問題をはらんでいると思う。熊さん八ッあんに大学の獣医学部が新設されようが、されまいが直接関係はない。


とはいえ、この先社会保障や税金など日常生活に関わって来る問題にはトンボの目のような複眼的な見方の必要な機会はどんどん出てくると思う。トンボの目というのは小さな「個眼」が集まってできた「複眼」だそうだ。その個眼の数、およそ2万。飛びながら他の昆虫を補食する必要性によるものだという。


個眼そのものの視力は、人間の視力でいえば0.01〜0.02ほどしかないのだそう。その代わり、視野の広さは360度と、極めて広い。偏った情報だけからの判断は誤りを犯しやすい。トシをとって視力が衰える。トンボの目でそれを補うことが大切だ。