風邪あれこれ


相変わらず氷点下の朝が続く。いくら最強寒波が居座り続けようが、暦だけはどんどん先に進み、今度の日曜2月4日はもう立春だ。暦の進行に呼応するかのように、寒風の庭にもリナリアが、温室の中では名前も知らない春の花が顔を覗かせている。春近しのシグナルだろう。


肺炎で入院中に主治医の先生から、いいことを教わった。入院の際、豊田の休日診療所からいただいた風邪薬も、気管支の調子がおかしいと云うことで行った耳鼻科から頂いた薬もすべて取り上げられ、服用するなということだった。どうして、服用しなくてもいいのか先生に訊ねた。



先生いわく。風邪薬は単に鼻づまりや、喉の痛みを和らげるだけのもので根本的に風邪を治してくれるものではない。がんなどの難病にさえ優れた薬が開発されていても、風邪を治す薬ほど難事はない。したがって、いただた薬を飲む必要はなく、抗生剤の点滴を3日4日と続け、体を休めることが一番いい。ということだった。


先生はさらに付け加えた。風邪薬の開発が難しい最大の理由は、風邪とは単一の疾患でないためだ。我々は、喉の痛みや咳、発熱などを伴う感染症をまとめて風邪と呼んでいるだけで、その原因となるウィルスは200種類以上あると云われている。200種以上もあるウィルスをまとめてやっつける薬を創り出すことは難事だ。予防接種にせよすべての風邪に対応は難事だ。



先生はこう結んだ。現代医学では風邪に対して「暖かい布団でよく休む」。これ以上の対策はできていない。クマさんの場合、肺炎まで併発しては手遅れだったが、これも天から与えられた大っぴらに休める免罪符だと思って、ゆっくり休んで行ってください。とのことだった。


「風邪は万病のもと」とか「馬鹿は風邪をひかない」などと先人は云ってきたが、風邪を侮ることのないようにとの戒めやら、鈍感な者は風邪をひいたことになかなか気づかない。手おくれになるなという戒めだと思う。医学が進んだ現在でも風邪ウイルス退治が克服できず、先人の言い伝えがいまだに通用しているのだ。たかが、風邪などと云っておられない。