インスタント敬語「はる」


彼岸の入りの月曜から降り続いた雨もようやく上がった。午後からは久しぶりの青空と日差しだ。きのうの関東地方の春分の日の雪が報じられている一方で、全国各地の桜の開花宣言も報じられている。わが三好丘四つ池周囲はどうかと気にかかる。16日に蕾がほころび始め(写真右下)、きょう午前中で開花まじかの状況が上の写真だ。



今、大阪に何かと注目が集まっている。大相撲三月場所、あす23日からは甲子園で選抜高校野球大阪万博のシンボル、太陽の塔の復元内部公開が今週から始まった。その大阪に今から20年前の5年間単身赴任した。個人的には、いい思い出がなく、一時は大阪弁を耳にしたり、「大阪」という文字を目にするだけでも、嫌な気分になったものだ。


唯一感心した大阪弁は便利な敬語と云おうかインスタント敬語と云おうか「はる」だ。「言わはる」「食べはる」「来やはる」など最初は違和感を憶えたが5年も大阪で過ごすと、この「はる」ほど便利な敬語はないものだ。とわかった。



「言う」の敬語は「おっしゃる」であり、「食べる」は「召し上がる」。「来る」は「いらっしゃる」である。大阪式簡便敬語を使えば「言わはる」「食べはる」「来やはる」となる。言葉を変えなくても「はる」をつければ万事OKだ。まさに、インスタントの敬語だ。


故郷多治見の東濃弁にも「はる」に似た「・・・やぁす」というのがある。「言やぁす」「食べやぁす」「来やぁす」となる。「はる」に比べあまり響きがいただけない。モノの本によれば、「はる」は「なさる」から「なはる」に変化したもの。近世の後期から亰、大坂の遊里で使いだした女言葉だったとか。これが大坂で多用されて、大阪弁の女性的な生ぬるさをさらに高めたのだろう。



とにかく、大阪は手っ取り早いのを考え出して、大好きにならはる。それが高じて、最近では「泥棒が入りはった」「地震が揺れてはる」となんでもつける傾向のようだ。東京の山の手言葉に「お」「御」をつけて、上品さを気取るつもりやってはるかもしれんが、大阪のおばちゃんがそれをやっても似合わはりません。だれかが、バカとちゃうかと云ってはりますぞ。