スポーツ競技団体「ムラ」


「危険な暑さ」の日が続く8月は定例のグラウンドゴルフもウォーキングも休みとあって、日の出の前後の時間に朝日を浴びながらひとりでウォーキングすることが多い。この時期3.4年前までは丘陵の畑で、朝日を浴びて光輝く大輪のチョウセンアサガオの群生に出会うのが楽しみだった。今はもう影も形もない。


地主さんに云わせると、なんという名前の花か知らないが、ここの畑は空き地が多いので種が飛んで来て居着いてしまったようだ。邪魔だから根こそぎ始末してしまった。とのことだ。直径が15cm以上はある純白のチョウセンアサガオの花が畑の牛糞の山の傍らで咲いているのは、何となく場違いの感じがするほどの上品さがあったのに・・・。



このチョウセンアサガオは花の上品さに似合わず相当なくせ者なのだ。薬用植物であると同時に毒性植物でもある。薬用の代表例は江戸時代の医学者華岡青洲がこの薬草の主成分から精製した麻酔薬で日本で最初の全身麻酔をして乳がんの手術をした。有吉佐和子の小説「華岡青洲の妻」は映画、ドラマ、舞台化された。
                                             


キチガイナスビ」といった別名を持つように毒性の代表例がある。オウム真理教が信者を洗脳、自白させるための薬物原料にこの薬草を使った。チョウセンは特定の地域を表すものではなく、単に海外から入ってきたものの意味とされる。ナス科チョウセンアサガオ属。園芸種にダチュラ、エンゼルトランペットがある。



「俺についてこい!」「なせば成る」。スパルタ式の猛特訓で東洋の魔女を育てた大松監督の有名な言葉だ。54年前の東京五輪での東洋の魔女の女子バレーの栄光も記憶に新しく、1960年代の後半は「アタックNo1」「柔道一直線」などのスポーツ根性物語が世に出た。


勝つためには根性だ。気迫だ。スパルタ式の猛特訓とそれに耐えた選手たちの物語が国民の間に行き渡り、精神主義や勝利主義、ワンマン指導者への信奉を世間も受け入れて行ったのだろう。東京五輪のあの成功体験は、今から思えばスポーツを科学や合理性から遠ざけたのではないだろうか。



そんな伝統を受け継いで半世紀。いろいろな競技団体が「ムラ」を築き上げ、トップが君臨してきた。そして、まわりはそれを許してきたのだろう。日大アメリカンフットボール部の悪質タックル、日本レスリング協会パワハラ、そして、こんどは日本ボクシング連盟の疑惑だ。


マイナーな競技種目の「ムラ」は社会情勢の変化と共に変質・脱皮して行くのは当然の成り行きだろう。よくも、まあこれまで、こんなことを周囲はやらせてきたものだとあきれ返ることばかりだ。大方のメディアの論調は、こんどの五輪までにスポーツ界の大掃除を・・・的なものだ。


いくら大掃除をしても、ビクともしないのは「甲子園ムラ(高校野球)」だろう。東京五輪が国中の時計の針を2時間戻してまで開催しようとしているのに、高校野球は連日「命に危険な暑さ」というのに、根性で旧来通りの開催。「ムラ」に関わる利権が多い事や、少しでも変更すれば波及する事柄が多すぎるのではないだろうか。


春も夏も主催者が第4の権力者(毎日・朝日新聞)。少々の不祥事が起きても握り潰しが効くだろう。何はともあれ、「ムラの事情」や「トップのメンツ」より「競技者第一」でいってもらいたいものだ。