要衝トルコ 第1回


秋晴れのきのうと比べると、多少雲が多いものの穏やかな週明け月曜日だ。10月も最終週。今年もあと2ケ月を残すだけとなった。



サウジアラビアのジャーナリストのトルコでの怪死事件の真相をカギを握るトルコが今世界の注目を浴びている。アジアと欧州及び中東を結ぶ地政学的な要衝の地であり、世界経済・軍事面の勢力図に大きな影響を及ぼす要衝の国になりつつあるのではないかと思う。きのうの中日新聞日曜版「世界と日本 大図解シリーズ」は「要衝トルコ」を特集していた。


6年前2012年の5月に10日間のトルコツアーに参加した。実質滞在8日間だけの印象で全体像を捉えるのは無謀なことかもしれないが、初印象というものは案外強烈で的を得た部分もあるものだ。無責任な独断と偏見に満ちた「クマさんの日記」のカキコを断片的に拾い上げたのが第1回。あすの第2回で混沌の中を巧みに泳いで現在の立ち位置に至っているトルコ、素人なりの印象をカキコしようと思っている。



イスタンブールで現地ガイドの常套句。「目的地までの時間は30分から3時間。」いかに交通渋滞がひどいかということを象徴したセリフだ。イスタンブールは道路事情だけでなく、西洋風も東洋風も入り混じったカオス(混沌さ)の街だ。確かにそのとおり。西洋とアジアと中東のその狭間に位置して、そのカオスを巧みに使い分けている。いわば、世渡り上手だ。そんな印象が強烈だった。




トルコの国土の95%、人口の90%がアジアにあるというのにトルコ政府は自国を欧州の一員としている。もちろん、NATOにも加盟。EUには加盟申請中。現地ガイドはうそぶく。今の財政状況からすると、そのうちにEUの方から加盟してくれと頭を下げてくると。日本では、トルコは中東の国として扱われている。(ネットでみるとどこの旅行社もトルコは中東に分類されている)。                                        


このように、欧州に深いかかわりを持ちながらイスラムの国で、アラブとは一線を画している。政教分離で休日は土日。警察、軍隊ではラマダンもない。2月に行ったマレーシアではほぼ100%に近い女性がスカーフをしていた。イスタンブールではスカーフの女性はクアラルンプールと比べものならないほど少ない。この辺が「モダンイスラム国家」と言われる所以だろう。
 


中東に民主化運動が吹き荒れる中、欧州とアジアの狭間で安定成長を続けるトルコ。混沌としているイスラム教を上手くコントロールして、欧州・アジア・中東の混沌の中で成長を続けている故に米国・ロシア・EUがトルコにすり寄ってきているように見える。先の国連総会で野田総理オバマ大統領と30分の会談。トルコの首相は1時間半だったという。うぅ〜ん、侮れない存在だトルコ。混沌を巧みに使い分けしているように思える。


EU諸国がなぜ火の車のギリシャの支援に躍起になっているかということは、ロシアが黒海から地中海へと進出して来ることに対するEUとしての守り役がギリシャになっているからだ。ギリシャがいつまでも立ち直れないなら隣のトルコをEUに加盟させてその役を果たしてもらおうという動きが出ている。と評論家はいう。


トルコ旅行中に現地ガイドのオスカーがトルコのEU加盟は焦らなくてもその内向こうから頭を下げて来る。と言っていた意味が分かった。「これから50年、世界はトルコを中心に回る」という学者がいるようだけれど、まんざら、大風呂敷でもなさそうだ。