要衝トルコ 第2回


10月も末、予報ではあすからしばらく最低気温が1桁の日が続くようだ。それでも、日中はちょっと気が早いが、”小春日和”と云ってもよさそうな陽気だ。午前中グラウンドゴルフ、午後市役所で防犯セミナー、夜はプロ野球日本シリーズテレビ観戦。その合間を縫っての日記のカキコ。なかなか考えがまとまらない。


「これから50年、世界はトルコを中心に回る」という学者がいるようだけれど、まんざら、大風呂敷でもなさそうだ。6年前のトルコ旅行記をそんな風に締めくくった。その学者の発言が何の記事だったか、何の番組の発言だったかも記憶にないが、言っていることは、6年経ってかなり信憑性を帯びてきたような気がする。



この6年の間にわが国では、2012年12月に3年半続いた民主党政権自民党政権に交代するといった変化があった。トルコではエルドアン首相は2018年の再選で首相職を廃止し、実権集中型の大統領制に移行し強権を発動するようになった。シリア問題では米国主導の有志連合に入り、反体制派を支援した。2016年のクーデター未遂事件では支援した牧師をめぐり米政権と対立し世界的株安にまで波及した。



ロシア南進の守り役としてトルコがEUに加盟してギリシャにとって代わる話は、クーデター未遂事件後のトルコの強権姿勢が影響して難航している。そんな中での今般のサウジアラビアの記者殺害事件の舞台がトルコで、同国の存在感を一躍クローズアップさせた。



米国の同盟国サウジ政府の行為は欧米社会の価値基準からいえば蛮行であり到底受け入れられるものではない。トランプ大統領は、クーデター未遂事件のときトルコに経済制裁を科したと同様に同盟国サウジに制裁を科すことが出来ない悩みがある。12兆円もの武器を買ってくれるお得意さんであり、おまけに目前に中間選挙があるからだ。



こうした米国の悩みを見透かしてエルドアン大統領は米大統領に、また中東での覇権をめぐり自らと対立関係にあるサウジに対しても、それぞれ強いプレッシャーを与えている。追い風を見逃さず、情報を小出しにして巧みに外交を展開してゆくエルドアン大統領は世界のメディアを引き付けている。


現状ではトルコの外交の巧みさが際立っているが、やがてはサウジ政権中枢部からの記者殺害指示の証拠も出されるだろう。そうした際に国際社会から経済制裁がサウジに科せられるだろう。イランもサウジも経済制裁なんていう事態になったら、世界の原油産出国事情が一変してしまう。世界経済がどうなるか想像もつかない。


トルコの情報の出し方が一歩間違えれば、世界はそれこそカオス(混沌)の世界に陥るだろう。やはり、世界はトルコを中心に回っている感じがする。