密室の中で社会を写す鏡、タクシー

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日差しがないものの、風がほとんどなく、まずは過ごしやすい天気の一日。きのうから貴景勝大関昇進の報がメディアを賑わせている。「武士道精神」云々の口上より、世の男性にとっては、テレビに映る「品格」のある「芦屋夫人」彼のお母さんの方に関心がいったのではないだろうか。

 

きのうのラジオ深夜便で、3月27日の誕生日の花はヒヤシンスと伝えていた。いま、わが家の庭では紫とピンクのヒヤシンスが花盛りだ。幕末時代にフランスからチューリップと共に渡来したそうだ。「ヒヤシンス」の音からの当て字だと思われるが、「風信子」「飛信子」という和名があるという。

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景気ウオッチャー調査。タクシー運転手や飲食店経営者、小売店の店長ら約2千人に景気の現状を聞いて指数化するもので、多くの経済指標の中でも景気の動きをいち早くつかめると評価されている。これは、先ごろ亡くなられた堺屋太一氏の経済企画庁長官時代の発案で現在も続いている。先日氏の評伝を読んで初めて知った。

 

タクシー運転手に白羽の矢を立てられたのは、さすが氏の見る目は鋭いと感服する。自分も曲りなりにもタクシー運転手を経験してきた。そこから見えるタクシー運転手像とは・・・。

 

21歳にならないと二種免許が取れないから、運転手は学校を卒業して何らかの職を経て入ってくる。社会の裏も表も分かった、いい意味では広い視野を持っている。そして、ホテルや料亭での宴会からの仕事が売り上げを左右し、チップの多寡に影響するから、景気には敏感にならざるを得ない。

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タクシー車内という密室で話される幅広い客層の本音の会話を傍受できる立場にいて、社会の広い分野にわたる裏表を知り、耳学問に長けている。自分の経験から言っても、「病院に行きたいが、嫁に頼んでもいい顔しないから、タクシー頼んだ方がよっぽど気が楽や」といいながら、日頃の愚痴をこぼす老人の何と多いことか。

 

商談を終えた上司と部下の会話を背中越しに聞く。部下が可哀そうになるほどこっぴどく叱られている。そうかと思えば、飲み屋から乗った若者が、まだ言い足りないとみえて、上司の悪口の続きが始まる。

 

トヨタの城下町だと海外からの研修生がホテルに長期滞在。工場への出退勤にタクシーを利用。背中越しの会話で英会話の勉強にもなった。ことほどさよう、タクシーは密室の中で、善きにせよ悪しきにせよ、社会を写す鏡のようなものだ。堺屋氏いいところに着目されたと思う。