名画「夜警」とアムステルダム国立ミュージアム

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うっとおしい梅雨空が続くなか、先週は「教養」と「教育」(きょう用があって、行くとこがある)の日が続いた。火曜は名古屋で麻雀、木曜は多治見で同窓会の反省会、土曜は名古屋で会社のOB会。リタイヤーした後輩たちが、地域の区長だの神社の氏子で多忙な毎日を送っている話を聞くにつけ、誰もが通る道を改めてかみしめる。

 

きのうは参院選挙。けさの新聞各紙の見出しに興味を惹かれた。「与党が改選過半数 改憲勢力は3分の2割れ」日経。「自公、改選過半数 改憲勢力3分の2は届かず」朝日。この2紙は中立的立場を見出しで見せている。

 

改憲勢力3分2割れ」と同じ見出しの産経と中日。同じ字面でもそれぞれの主張がその裏に見え隠れしている。産経は3分2割れはしたものの自民は勝利した。憲法改正実現は、首相と自民党の覚悟にかかっている。と。中日は与党大勝に違いない。世論調査では国民は現行憲法だと云っている。改憲以外の重要課題に注力せよと注文をつけている。と。

 

それもそうだけど、投票率が50%を割っている中で選ばれてばんざい、ばんざいとやっているが、果たしてそれが民意と言えるかという疑問さえ沸いてくる。新聞もこうした問題にもっと紙面を割いてもいいと思う。

 

おととい20日の誕生日の花はノウゼンカズララジオ深夜便が伝えていた。中国原産のこの花、20年来わが家で毎年6月下旬から9月中旬頃までオレンジ色の派手な花が咲き続けている。いろいろ絡みつきながら、つるでどんどん伸びていく。

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2週間ほど前の9日の中日新聞夕刊に<「夜警」修復ガラス張り オランダ>との見出しで上の写真が載っていた。記事の内容はこうだ。オランダのアムステルダム国立ミュージアムはこのたび、17世紀オランダ絵画の巨匠レンブラントの修復を始めた。絵は通常の展示場所にとどめ、作業は来館者がガラス越しに見られる。1年がかりの作業という。

 

公開修復に踏み切った理由は、年200万人以上が鑑賞に来る「夜警」は「オランダと世界の人々のもので、今この絵に何が起きているか知る権利がある」と館長は説明している。インターネット中継もするそうだ。

 

4年前オランダ・ベルギー旅行した際に、東京駅丸の内側の駅舎によく似た建物のこの美術館を訪ねた。オランダ最大の美術館だ。レンブラントフェルメールをはじめとする17世紀オランダ黄金時代画家たちの圧倒的コレクションがみものということだ。

 

ガイドさんは事前レクチャーでレンブラントフェルメールだけは見逃すなとアドバイス。中でもレンブラントの「夜警」とフェルメールの「台所女中」はこのミュージアムのシンボル的な存在でこれらの絵画の見所を説明してくれた。

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「夜警」について。大規模な修理は刃物で切り付けられた70年代と化学スプレーを吹き付けられた90年代の2回行われている。町の自警団がパトロールに出発する瞬間を描いたものだが、描かれた当時塗られたニスが経年劣化して昼間の情景が暗くなり、いつの間にかタイトルが「「夜警」になった。とのことだ。

 

この絵の前に立つとなるほど大作で圧倒される。描かれた当時はもっと大きかったと云われる。縦4m横5mだったが、新たな展示場所に移動する際に切り取られ、現存のものは縦3.6m横4.4m。光と影の技術のすばらしさに着目すること。事前レクチャーはこんな内容だった。

 

特に絵画に興味があるわけでもないが、1年がかりの修理がインターネット中継されるほどの作品をこの目で鑑賞したことを、何だか誇らしく思う。こういうのを自己満足というだろう。

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このミュージアムの建物が東京駅に似ているので、その点をガイドさんに質問。こんな答えが返ってきた。アムステルダム中央駅はその重要性からアムステルダム国立ミュージアムを設計した実績を持つカイペルスが起用された。ネオゴシックとネオルネサンスを融合させた様式であり、似ているのは間違いない。類似性がある

 

 

それでは東京駅丸の内側駅舎が国立ミュージアムに似ていることになるかというと学術的には無理があるようだ。そもそも、東京駅がアムステルダム中央駅をモデルにしたと云うのは建築学史的には俗説であるらしい。両駅が姉妹駅で色が似ていることや、欧州にありがちなターミナル駅でなく通過駅で横長な駅舎だとか、背後に王宮(皇居)があるといった共通点が多いのは確かだ。

 

 

AとBには類似性がありBとCには共通性がある。ならばAとCの間はどんな関係になるか?幾何学の問題を解くようなものだ。ミュージアムと東京駅が似ていると云って喜んでいる者にしてみれば、誰に迷惑をかけるでもなし。何の罪もなし。それでいいじゃないか