絶滅したもの、しぶといもの

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今週に入って、ちょっぴり秋の気配が感じられたが、何と言っても時はまだ8月だ。そんなに簡単に秋に入って行くとは思えない。週末から9月にかけて傘マークが並ぶ。ススキ梅雨、秋霖(しゅうりん)が待ち構えているようだ。北部九州は未曽有の大雨のようだ。

 

 一昨日26日の誕生日の花はケイトウラジオ深夜便が伝えていた。初夏から11月頃まで鮮やかな色のケイトウがわが家でも花壇を彩っている。丘陵の畑に咲いているのをよく見かける。花が鶏の鶏冠(とさか)状に見えることからのネーミングらしい。        

 

英語でも「cocks-comb」(鶏のとさか)。この花は世界中のどの人が見ても「鶏のとさか」に見えるようだ。花が鶏冠状や丸くなって咲くものや、槍のようにとがるものもある。色は赤、黄、橙など。ひゆ科ケイトウ属。

 

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 猛暑の日中を避けてのことだろう。夜明けとともに丘陵地の学校の運動場くらいの広さもあるタバコ畑では葉タバコの収穫。自分の背より高く育った茎からA3判の紙一枚ほどの大きさの葉を摘みとり、座布団を重ねるようにせわしくなく積み上げている老夫婦。 奥さんが積み上げたものをご主人が回収、軽トラックまで運んでいる。

 

 10年くらい前までは、この時期この地域ではごく当たり前の光景だったらしいが、だんだんタバコ農家が減って今ではまったく見られなくなり大根畑に姿を変えている。写真は8年前の今頃の季節の早朝ウォーキングで撮ったものだ。

 

このタバコ、6月の初めが花の咲く時期。蕾が膨らんで明日には咲くだろうと期待して、翌日行くと花が全部摘み取られている。花が咲くと葉に栄養が行かなくなるので「芯止(しんどめ)」という花摘みが行われるそうだ。

 

左側写真の上段左は、明日かあさってには咲く状態。上段右は花摘みの時の落ちこぼれの花一輪。下段は400〜500m先にある休耕田が花摘みしたタバコの花の墓場。田んぼの中に山盛りが4つも5つもある。

 

世の中には蝶よ花よと育てられる花もあれば食い扶持べらしのために墓場行きの花もある。花が犠牲になって墓場に行き、葉が成長して製品化されても百害あって一利なしと袋たたきにあうタバコ、なんと気の毒な存在だろう。昔「動くアクセサリー」今「人類の敵」のたばこだ。三好丘では絶滅種の葉タバコだ。

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葉タバコの生産のように、およそ10年の間にまったく姿を消してしまったものがあるかと思えば、10年1日のごとく変わらないのが、中国格安ツアーでないだろうか。8年前の秋「5つ星ホテルに泊まる西安」のふれこみにつられて行ってみればさんざんの目だった。今でも「北京・天津4日間39900円」なんていうのは、クマさんの経験した格安ツアーと同じ格安ツアーの部類で、10年1日のごとく「安かろう、悪かろう」は変わってないと思う。

 

ホテルは確かに5つ星、まちがいなかった。旅費全体を低く抑えるために、搭乗率の悪い時間帯の航空便になる。セントレアを夕方に出て、西安のホテルに入ったのは午前1時過ぎ。帰国の便は西安発朝8時。ホテル出発は5時半。安いツアーだから、これくらいは我慢しよう。

 

安いツアーおなじみの”義理ショッピング”。行く前からある程度はわかっていたが、これにはうんざりした。工芸品店、お茶の店、寝具店。北京でも上海でも桂林でも連れて行かれたことのある国家が関与する工芸品の展示場でのショッピングは催眠商法そのものだ。その他の店でも半ば監禁状態で誰かが買わなければ解放されない。昼食や夕食のレストランでも客がテーブルを囲んで談笑してようが構わず土産をしつこく売りに来る。酒の勢いで気前よく買ってきたことはいいが、賞味期限切れで恥をかいた。

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 「格安ツアー」は「安かろう、悪かろう」とここまでは仕方ないと割り切れる段階まではいい。それを越すとしっぺ返しを食うのは結局自分だ。元受会社の営業政策で下請けを締め付けるから、下請けは2次下請けである”義理ショッピング”の店やレストランで帳尻合わせをせざるをえない。店やレストランは客に買ってもらって帳尻合わせをせざるをえない。しつこくなる。時間がかかる。客はせっかくの観光場所の見学時間が短くなる。   

 

現に西安の南の城門の見学は真っ暗になってからになった。書院門の古文化街で書道の筆や墨を買うことをカミさんから頼まれていたが時間がなくなってしまった。安いツアーに飛びついたしっぺ返しは痛かった。「兵馬俑」が第一の目的だったから、それができればしっぺ返し仕方ないとすっか!                      

 

10年の間、不愉快な思い出を残す格安ツアーが存続していても豪華ツアーが増えて、格安から豪華までまで選択の幅が広がったとみるべきか。「格安ツアー」は絶滅危惧種になってはいるだろうが、その需要があるからしぶとく生き続けている。