「兵馬俑」アナザーストーリー

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きょうは二十四節気の「立冬」。朝夕冷えみ、日中の陽射しも弱まって来て、朝のウォーキングの待ち合わせ場所も日当たりのよい側を選ぶようになった今日この頃だ。

 きのう11月7日の誕生日の花はシラタマホシクサラジオ深夜便が伝えていた。このシラタマホシクサ、伊勢湾や三河湾に近い中部地方のみの固有種で、絶滅危惧種に指定されている。夏の終わりから秋にかけて湿地にかわいらしい白い球形の花が咲く。白色の球形を白玉にたとえたのが名前の由来。遠目には満天の星空のように見える。高い山にガスがかかったような状態にも見える。あるいは、草むらがうっすらと雪化粧したかのようにもみえる。星草科ホシクサ属.

このシラタマホシクサの自生地が意外と身近なところにある。一ヶ所は三好ヶ丘駅から歩いても10分ほど。三好カントリーの東コースと西コースの間に境川の水源長田池がある。その下流およそ500m、丘陵の崖下に50坪ほどの湿地だ。丘陵が宅地開発されたとき湿地が枯れてシラタマホシクサは絶えたと云われていたが、その後湿地が蘇り、このように咲き始めたようだ。

 もう一ヶ所は豊田の市街地から東へ4kmほど、鞍ヶ池公園の先にある矢並湿地だ。ここはラムサール条約にも登録されている豊田市の「東海丘陵湧水(ゆうすい)湿地群のひとつ。広さおよそ5ヘクタール。普段は立ち入りが制限され、毎年秋に5日間ほど一般公開されている。4.~5名ごとにガイドが随行して説明してくれるのがうれしい。

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おとといの夜のテレビ、BS3の「アナザーストーリー」で「兵馬俑は見ていた!~巨大遺跡に翻弄された人々」が放送された。中国の古代遺跡「兵馬俑」を45年前、井戸を掘っていた1人の農民が掘り当てた。秦の始皇帝の軍隊を忠実に再現したおよそ8千体の兵士像が2千年以上の眠りから覚めたのだ。    

 だが時代は文化大革命の真っ最中。スローガンは「古い価値を否定せよ」。名だたる歴史遺産が次々破壊されていた。そんな中で遺産を守り続けながら更に発掘作業を進めた考古学者。そして、その遺産の存在を世界に発信し続けた女性ジャーナリスト。発見した農民、破壊から守った学者、世界に存在を知らしめたジャーナリスト。20世紀最大の発見、その裏に隠されたアナザーストーリーに興味を惹かれた。

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この「兵馬俑」に惹かれて、連れもなくひとりだけでツアーに参加した。8年前2011年10月のことだ。西安の中心部から東へ30数キロの郊外にある兵馬俑坑博物館。紀元前210年に没した秦の始皇帝の陵墓の東側1.5kmの場所にある。3つの俑坑には戦車が100余台、陶馬が600余体、兵士俑が6千〜8千体あると言われている。兵士はすべて等身大。1体1体みな表情や服装、装備が異なっている。現在も発掘中。

 来世に旅立った始皇帝を守るために配備された軍隊と思われていたが、次々と発掘される文物群からは生前の生活そのものを持って行こうとしていたことがうかがえる。そのため、未だに陵墓の発掘に手が付けられないそうだ。

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エジプトのピラミッドにしろ、日本の仁徳天皇陵奈良の大仏にしろ時の為政者が権勢をふるって、今から考えればとんでもないものを作った。そして、弱い立場の一般人が泣かされた。泣かされた者からすればとんでもない暴君だ。考えてみれば、世界遺産といわれるものの大半は歴史を遡ってみれば”暴挙”の副産物だろう。

 かつて弱い人たちを泣かせてきた暴君も、その暴挙が何千年、何百年経った今貧しい人たちが生きてゆくための重要な観光資源として息づいている。罪滅ぼしをしている。とんでもないスケールの世界遺産に接してこんなことを感じた。

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8年前訪れたときにはそんなことを感じたが、アナザーストーリーを見てから訪れたらまた違った感慨があっただろう。卑近な例でいえば、ツアーでは第一発見者の農民が店頭に出ているみやげ店に案内され、われもわれもとツーショットで撮っていた。

 アナザーストーリーでは、村内のみやげ店何軒かに「ここが第一発見者の店」の看板が掲げられ、平和だった農村の人間関係が崩れたことに嫌気がさして、本物の第一発見者は一時世間から遠ざかってしまったと伝えていた。

 クマさんはツーショットを撮らなかった。ツアーで案内された店の人物がテレビのインタビューに出ていた本物の第一発見者かどうか定かでない。いずれにせよ、発見者にも守った人にも世界に発信した人にも、これだけのことを成し遂げた裏には通り一遍では語り尽くせないアナザーストーリーがあるということがわかった。