秋の夕暮


きのう22日が二十四節気の「小雪」。北国から雪の便りが届く頃だが、まだ本格的な冬の訪れではなく雪といってもさほど多くないころだ。その「小雪」を挟んだこの2,3日皮肉にも穏やかな小春日和が続く。とは云ってもあと1週間もすれば12月。暦の上では晩秋だ。


そんな晩秋の夕暮れに三好丘丘陵地の尾根筋をひとり歩く。「去年より又さびしひぞ秋の暮」蕪村 毎日のように届く「喪中欠礼」の挨拶状。年ごとに淋しさの増す秋の暮だ。蕪村の句が身に沁みる。



ご近所さんとの定例ウォーキンウは休み。小春日和に誘われてカミさんとふたりで出かける。コース中で一番気に入りの紅葉スポット。ワイナリーの南側の並木道だ。毎日通るから写真を撮るタイミングを見極めていた。たまたま通りかかった並木道の先に住む奥さんが、まだ早い。1週間先がいいよ。と静止するもカメラを持って毎日ここを通るからと、振り切って撮ってみた。


例年だともう少し鮮やかと云おうか、艶やかなと云おうか茜色ともいわれる色に近い色のように思える。日が暮れて、この並木道の前を車で通りかかった。入り口だけは薄暗い街頭の灯りに照らされているが、奥の方は真っ暗闇の世界だ。
          

うろ覚えだった蕪村の「去年より・・・」の句を確かめるために調べていたときに「山くれて紅葉の朱をうばひけり」蕪村 こんな句もあった。夜の闇があたりの紅葉を塗りこめてしまう。それを「朱をうばひけり」と云ったのだが、こういうと、かえって昼の内に見た見事な紅葉が闇の中にあかかとよみがえる。そんな解説がついていた。


並木道の真っ暗闇の中に、画家としても有名な蕪村の色彩感覚に富んだ、蕪村の世界の一端を垣間見た思いだ。紅葉も、ライトアップをするだけが能じゃないと思い知らされた。