自由都市 アムステルダム

爽やかな秋空、まさに秋たけなわの週末だった。こんなもったいないような日だというのに、ただ誘われるままに2日とも麻雀だけで無為に過ごしてしまったことが悔やまれる週末でもあった。週明けのきょうは、日差しもなく肌寒さすら感じる。深まり行く秋を感じる。

● 「自由都市アムステルダム」は何を意味するか?
 

旅行中どこかで帽子を置き忘れたのでアムステルダムで新しいものを買った。帽子に「EST.1275 THE ULTIMATE CITY OF FREEDOM」と書いてある。1275年創立の究極の自由都市アムステルダムという意味だろう。ならば、この「自由都市」というのはいったい何を意味するだろうか?


歴史的に解釈すれば、中世欧州のほとんどの都市が領主や教会の支配と規制によって発達したが、経済力の大きな都市では豪商が中心になって支配者の拘束から脱し、市政や商取引の自由を与えられた都市のことを指すのだろう。

     

俗っぽく解釈すれば、現代社会ではアンタッチャブルとなって裏社会のものとされている麻薬・売春が自由公認の究極の自由都市を指すのだろう。


クマさん的解釈はこうだ。オランダは個人主義の国であり、他人に迷惑をかけなければいいという考えが根本にある。その上移民受け入れに寛容な風土がある。多民族・多文化の人間を一つだけの規則で固めるより、一定限度の自由を認め、その一方で自己責任でルールを守っていくことができる国民こそ、真の自由であり自立した国民でないだろうか。それが、オランダでありその代表がアムステルダムなのだ。



帽子はそんなことを物語っている。たった1日か1日半の滞在で、ちょっと過大評価でないか?いや、それには理由がある。芸術の都パリ、音楽の都ウィーン、歴史の都ローマなどと云うけれど街や電車は落書きだらけ。パリの街なかに犬のフンさえ目につく。


それに引き替えアムステルダムの街は、セントラル駅を中心にして広げられた扇のような形をしている。運河と橋が多く、手入れのよく行き届いた花が至る所で咲き、レンガ造りの重厚な建物が整然と並び、石畳が敷き詰められた街並みが歴史を感じさせ、成熟した大人の街という感じである。



また、自由を重んじる国であるだけに自己の責任も厳しく問われ、小さい時から自立した行動が身についているだろうか、公徳心のある国民だ。欧州の他の都市に見られるような落書き電車についぞお目にかかることはなかった。(鉄道に乗る機会がなく、バスで移動の際すれ違う電車だけでは断定はできないが・・・。隣国ベルギーのアントワープでは見かけた。)


自由で寛容で合理的な精神を持ち合わせた町、アムステルダムアンネ・フランクに代表されるように迫害された人々が安住の地としたように懐の深い町だ。