愛知県美術館

夕刊に「入梅、雨はどこ?」6月に入って降水量ゼロ、と冷やかされるほどにきょうも晴天で暑い。悠学カレッジ「すてきな午後の美術館散策」最終回のきょうは名古屋の愛知県美術館。(愛知芸術文化センター10階)

 

企画展は「渡辺崋山展」。渥美の田原藩士だった彼の名品を所蔵する田原市博物館から借り受けた数々の作品が展示されている。学芸員さんがこの企画展からこの美術館のコレクションまで2時間以上にわたって丁寧に説明してくれた。

 
   高橋由一 「不忍池」         ルーブル美術館の作品 

学芸員さんの説明を聞くうちに「芸術は理屈ではなく科学を超越したもの。」そんなことに気づいた。絵心のある人間なら誰しもわかっていることだろうが、芸術的センスのない自分は人生70にしてやっとわかった。


左側の絵。柳に吹く風は左から右に、下の草むらに吹く風は右から左に。科学的に見たらそんなことはあり得ない。見る者に科学的不合理さを感じさせないほどのインパクトがある構図ということだろう。


右側の絵。ルーブル美術館にあった絵。左手があのような格好をしていたら、人体の骨格上右手があんなにも先の方まで延びることはない。同美術館のガイドさんによれば女性美を追究して行くとああいうことになるが、不自然さを感じさせないところが画家の腕の見せ所。


かっこよく言えば「芸術は理屈でなく科学を超越したもの」だけれど、ひねくれた見方をすれば描く方と見る方の「騙しあい」かもしれない。