底紅のムクゲ


暑い! 日本一暑い都市多治見で育った身にもこたえるきょうの暑さだ。四つ池の周囲の道路の歩道、朝の日射しを受けて白いムクゲが心を和ませてくれる。朝開き、夕べにはしぼんでしまう一日花だ。その落花が歩道を占領している。落花を避けながらのけさのウォーキング。


真っ白な花で花の底が赤くなっているものを底紅と呼ぶそうだ。「底紅や だまってあがる 母の家」作者は忘れたが何かの本で見たかラジオ深夜便で聞いたか記憶が定かでない。ひとりで暮らす母を時々訪ねる。庭にいま咲いているのは底紅のムクゲ。そんな庭から声もかけずに座敷にあがってゆくのは、半分わが家のような母の家だから。だいたい、こんな解釈だろう。             


きのう、カミさんが97歳になる自分の母を、これが最後になるかもしれないと、ウチに連れてきた。今は施設に入っているが、3〜4年前までのこの季節にカミさんが実家に行ったときの様子がこの句に重なる。底紅のムクゲと97歳になるひとり暮らしの義母から忘れかかっていた句が蘇った。