きれいに使ってくれてありがとう


きのうより晴れ間が多いが、日陰に入ると風の冷たさで晩秋を感じさせるような一日。庭の花壇では春と秋に二度咲きするリナリアに加え、寒い12月頃から初夏まで咲くノースポールが咲き始めた。草丈15〜25cmでマーガレットに似た白い花だ。雪の中でも咲いて、冬枯れの庭を彩ってくれる貴重な花だ。


「いつも、きれいに使ってくれてありがとう。」とトイレに張り紙がしてあるのを時々見かける。大抵の人は「きれいに使いましょう。」と張り紙されるより前者の方がきれいに使おうという気になるのではないかと思う。ちょっとした言葉の使い方ひとつで人の心理は微妙に動かされるものだ。


先週のこと。ご近所さん宅が豊田署のオレオレ詐欺の訓練の舞台になった。奥さんが騙され役。オレオレと電話する役、現金を受け取りに来た犯人役、家の中で張り込み取り押さえる役は勿論すべて署員。部外者はシャットアウトだったので、見物はできなかったが奥さんの話では真に迫っていて緊張したという。
                                                     

1年以上前のことだが読売新聞のコラム欄にこんな記事があり切り取っておいた。埼玉県内の銀行で振り込め詐欺防止のポスターが張り出され、99歳の詩人の一編の詩が載っているそうだ。


<今 あなたの/している事を知ったら/あなたの家族は/どう思うかしら/子供の頃/あなたには/やさしい心があった筈(はず)/風の囁(ささや)きも/聞こえた筈よ/弱い人たちを/苦しめないで/その知恵を/良い事に使ってください>


トイレを使うときの張り紙の心理と同様、この底なしの寛容さに心を揺らす“振り込め詐欺犯さんやオレオレ詐欺犯さん”が、100人に1人でもいるかもしれない。ご近所さん宅がこのような犯人を取り押さえる訓練の舞台になっているだけに余計にそう思いたくなる。