生物の世界の驚異

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花の少ないこの時季、野山や庭に彩りを与えてくれるのが赤や黒、黄や青などの木の実だ。赤い実のピラカンサ、紫色のムラサキシキブなどは一月以上も前にデビューしている。今、三好丘丘陵地の手入れの行き届いていない柿畑では、ツルウメモドキのつるが柿の木にからまりながら上に伸び乗っ取りを企ているようなかっこうだ。


今は淡黄色に熟した実が鈴なりだ。やがて3つに裂けてはぜ、赤い種子が現れる。これが美しいので生け花やリースに使われる。クリスマスリースにはもってこいの材料で、ボヤボヤしていると誰かに持って行かれる。わがウォーキンググループのメンバーはいまツルウメモドキの赤い種が現れる時期のウォッチに真剣だ。種子は鳥に食べられて散布される。


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右の写真は去年の赤い実。去年の12月に緑化センターの「季節の花めぐり」に参加したとき指導員の方からこんな話を聞いたのを思い出した。木の実は、種子散布のため鳥に飲み込まなければならない。どういうわけか美味しそうな外見に反し不味いものが多い。ピラカンサ、クロガネモチが代表。これは、一度に多量に食べられ一か所に排泄されると、散布範囲が限定されるだけでなく個体の生育に不利だからだそうだ。自然の摂理に反するようだが、理にかなっている。生物の世界の驚異だ。