ヤツデ


きのうまでの穏やかな晴天とうって変って朝から冷たい雨。 


きのうのこと。所用で地域の旧来からの農家にお邪魔した。広い敷地で殆どが和風の庭園。12月といっても庭はあまり冬枯れを感じさせない。意外と華やかだ。山茶花の赤・白、柚子・八朔の黄、南天の実の赤、中でもこの花の白が目立つ。ヤツデの花だ。


球状に広がった白色の小花がシャンデリアのように開き、蟻が集まっている。小さな小花が蟻などの虫に何かアピールしているように見える。


ヤツデといえば去年の今頃の緑化センター「季節の花めぐり」で指導員の方がこんな話をしていたのを思い出した。蜜を求めてヤツデにやってくるのはアリ・ハエ・アブでよく晴れた日に限られる。黒っぽいそれらの虫は、寒い日でも日差しがあれば体を温め活動できるからだ。


それらの虫にとってヤツデの蜜は冬越しのための貴重な栄養源。ヤツデにとってはライバルとなる花が少ないから虫たちを独占し確実に花粉を搬送させることができるという。自然の営みは実にうまくできているものだ。


そんなことを思い出しながらこの農家の庭を眺めていると、穏やかな天気も手伝って、あまり冬を感じさせない至福の時だ。