トヨタ鞍ヶ池記念館


年がかわって10日になるがまだ雨が降ったことがない。きょうも晴天だ。畑のタマネギが枯れ死寸前だ。豊田の市街地から東へ車で15分ほどのところに鞍ヶ池公園がある。東海環状自動車道の鞍ヶ池SAが隣接している。所用で近くまで行ったので公園の中にあるトヨタ鞍ヶ池記念館に立ち寄った。


豊田・みよしに住んで35年になるというのに、公園の中の動物園や遊園地へは子どもの小さいころ何度も訪れていたが、記念館は恥ずかしながら初めてだ。季節はずれの公園には人影もなく、しかも道路から奥まったところにある記念館は静寂そのもの。


この記念館はトヨタ車生産1,000万台達成を記念して1974年(昭和49年)に竣工したもの。本館内には「トヨタ創業展示室」と「鞍ヶ池アートサロン」があり、広大な敷地の一角には創業者豊田喜一郎の生前の別荘が修復移築されている。



お目当てはアートサロンの企画展「荻須高徳とパリの街角」。稲沢出身の荻須高徳の作品に加え、エコール・ド・パリの画家や戦前や戦後に日本からヨーロッパへ渡った画家たちによる「パリの街角」を描いたトヨタ所蔵の作品24点が展示してある。ユトリロマリー・ローランサンの作品もある。画家によって表情を変える「パリの街角」が興味をひく。これだけの作品群が入場無料とはうれしい。



創業展示室の展示車、初代トヨペットクラウン(昭和30年製)。観音開きのドアーが懐かしい。学生時代、某社の社用車運転手のアルバイトをしていた友人が黒塗りのこの型のクラウンを夜自宅に持ち帰り、深夜の京浜国道をぶっ飛ばし羽田や横浜港へ一緒にドライブしたことが思い出される。


名古屋のトヨタ産業技術記念館長久手トヨタ博物館トヨタ本社内のトヨタ会館、そしてこの記念館。それぞれ設立趣旨は異なり対外的な発信のすみわけもできていると思うが、一般人からみるともう少しスマートな発信方法があるのではと思う。アートサロンでの展示にしても、トヨタ所蔵作品を社会貢献の一環としてもっと大々的に公開したらと思う。かつての「財界活動はしない三河モンロー主義」「武骨な三河人のやること」という先入観があるかもしれないが、垢抜けしないプレゼンテーション力の感がぬぐい切れない。(世界のトヨタに向かって一介のサンデー毎日おじさんが生意気なことをいうようだが・・・)