安・遠・長


大型連休の後半の週末は連日好天に恵まれた。サンデー毎日族はこんな時には外出を遠慮してひたすら野良仕事に精を出した。きのう5日こどもの日は暦の上では二十四節気のひとつ立夏だった。春分夏至の中間で夏の到来を感じる事が出来るような時季になるころである。


そんな時季だから野山の景色もたった1日か2日のことで、随分と変わって見えてくることがよくある。きのうまでは咲いてなかった花が急に咲いたりして。ウォーキングコースにある竹藪の中に咲くイモカタバミとツルキキョウ。ともに蔓性で大繁殖して厄介者だ。大型連休に入る前頃は竹藪の傍らを通ってもそんなに目立つ存在でもなかったのに。これだけ一面に群生してくると見ごたえがする。



ゴールデンウィークは今日で終わり。ゴールデンエブリディ族が世間様のことをとやかくいうのもナンだが、今年はアベノミクスによる賃上げを見越した「プチぜいたく旅行」で、国内高級旅館の宿泊が人気を集めているそうだ。低迷が続いた消費マインドに薄日が差し、連休の過ごし方も「安・近・短」から「高・近・短」に変化したようだ。つまり、宿泊費に金をかけるようになったことに変化が見られるが、近場で短期間で駆け足の旅は日本型の観光文化といえるだろう。


この日本型観光文化の対極にあるのがバカンスを代表とするじっくり型の西欧型観光文化でないだろうか。両文化の違いの根底あるのは「労働観」でなかろうか?


西欧社会における労働の観念は、労働は神の力によって人間に課せられた「罰」であり、「労働」は「苦役」という意味合いが主調になっている。一方、日本人にとっては、農民から職人、町工場の技術屋さんからサラリーマンまで、働くことは一種の自己実現であり、創造なのだ。心の奥底に「労働は美徳」という労働観が存在しているのだ。


経済はグローバル化してきたが、人の心に根差した文化はそう簡単にグローバル化しないものだ。それでも、180数日をかけた世界一周のクルージングに人が集まるように富裕層には「高・遠・長」の兆しが見える。われら年金族に適した「安・遠・長」の時代がもうそろそろ根づいていい時期ではないか。