ミシュラン★★幸兵衛窯


週末は梅雨の中休み。比較的からっとした天気で野良仕事もはかどった。カミさんからはねぎらいの言葉があっても、麻雀仲間から付き合いが悪いと冗談まじりの嫌味が届く。こちら立てれば、あちら立たず。リタイヤーしても、世の中うまく行かないものだ。


ミシュラン二つ星が300円で」。一度行こう、行こうと思いながらなかなか行けなかったのが、やっときょう実現した。ミシュランはレストラン・宿泊施設を紹介する「ミシュランガイド」と外国人旅行者向けの旅行ガイド「ミシュラングリーンガイド」がある。今年2月に「ミシュラングリーンガイド・ジャポン」仏語版第3版がフランスで発売された。日本語版でないので国内での注目度はあまり高くない。


何はともあれ、そのミシュランに09年の認定以来今回の第3版でも二つ星を維持された多治見の名窯「幸兵衛窯」を半世紀ぶりに訪れた。このガイドで京都南禅寺や奈良興福寺でも二つ星だから、「幸兵衛窯」の格も推して知るべしだ。「幸兵衛窯」は本館、古陶磁資料館、工芸館、穴窯の施設があり、本館では作品の展示販売もしている。入館料が300円というわけだ。

                  
国道248多治見と瀬戸の中間あたりの市之倉町にある。先月行われた高校の同窓会の反省会に出席した帰りに立ち寄った。半世紀の間に随分様変わりした。学生時代の春や夏の休みに帰省して実家の本屋の配達の手伝いでこの窯元へよく来た。その当時から六代目当主加藤卓男氏は有名であったが、あれよあれよという間に人間国宝になられ日経新聞の「私の履歴書」の執筆者に名前を連ねるほどになられた。現在は七代目加藤幸兵衛氏のもと20数人の熟練職人が品格ある和食器の制作をしている。




加藤卓男氏といえば、ペルシャンブルーとラスター彩。本館2階でその真髄に接することができる。ラスター彩というのは金色の彩画を施した10世紀前後のペルシャの陶器のこと。金銀器の製造が禁じられたため陶器で金属感を出そうとして作られたもので、その技法が消滅。氏が10数回にわたり中東を訪れ、その技法を再現した。



日本の美濃焼とペルシア陶器とは全く関係のないものに思えるが、この展示館では氏の収集したペルシア陶器と美濃織部焼の破片が並べられて展示され、伝統的な日本の焼物である美濃織部が実は遠くペルシアの影響を受けているのではないかとロマンが膨らむ。