オオキツネノカミソリ


先日の中日新聞地方版に豊田・稲武地区の大栗山の自生地でオオキツネノカミソリが満開と出ていた。3年前に新聞に出てから1週間後くらいに行って盛りを過ぎていたので、今年はそんなことがないよう早めに出かけた。稲武の道の駅「どんぐりの里」から茶臼山方面へ約10分。路側帯に駐車。登山口から歩くこと600m約20分。


 
3年前は楽々登って行ったものが、今年は間伐材を杖に息絶え絶え。体力の衰えを実感。突然、ケヤキの大木が林立する山腹にうすいオレンジ色のじゅうたんを敷き詰めたような光景が目に飛び込んでくる。木漏れ日の光の帯がまぶしい。


そもそもこのオオキツネノカミソリと云う花はヒガンバナ科ヒガンバナ属の花でヒガンバナにそっくりだ。花弁の色はヒガンバナが濃いオレンジ色、こちらは薄いオレンジ色。両者とも扱い方によっては有毒。キツネの出るような薄暗い場所に咲き、葉がカミソリに似ていることからのネーミング。この大栗山は国内最大級の自生地と云われている。


山腹の避難小屋の前に案内板がある。こんな記述だ。「今から120年ほど前、稲橋(稲武)の八幡神社を建設するとき、諏訪大社からいただいたケヤキ130本を大栗山の一画に植えた。それがケヤキの森となった。大栗山一帯には、大勢の木地師が住みつきオオキツネノカミソリを薬草として栽培していた。木地師たちが移住した後にもケヤキの森の中にオオキツネノカミソリはひっそりと生き続け、きれいな花を咲かせている。」


このオオキツネノカミソリ、毎年8月中旬過ぎになると写真入りで新聞の地方版に載る。色、形が特別美しいものでもないのにもてはやされるのはどういうわけだろう? 同種ながらヒガンバナほどポピュラーでなく希少性、しかも自生群生している。大栗山が国内最大級の自生地。 名前が大仰で、どんな花が咲くか見てみたくなる。そんなところだろう。