鈍行列車でえっちらおっちら


きょうも氷点下の朝だったようだ。所用で豊田に出かけた折に、平芝の梅林に立ち寄った。肌を刺すような冷たい北風が吹いていると云うのに早咲きの木にはもう蕾が膨らんでいる。


「東風(こち)吹かば匂いおこせよ梅の花あるじなしとて春な忘れそ」左遷された菅原道真を慕って東風に乗って香りだけでも送り届けてあげたいが、この北風ではねぇ〜。いましばらくのお待ちを。


2週間ほど前の朝日新聞天声人語で脚本家の山田太一氏の言葉を紹介していた。「ぼくは、各駅停車の駅にいる人が、豊かでかっこよく見える」つまり「災害や病気を経験している人とそうでない人では、人間の差が生じていると思う」



そういえば、何年か前にクマさんの日記で次のようなことを書いたことを思い出した。学生時代から社会人になりたての頃に感じたこと。自分は幸か不幸か浪人しなかったが付き合う人間で浪人をした者は概して人間味のある者が多かった。部下を持つようになって思ったこと、地元大学に現役で入り自宅通学していた者は概して考えの甘い者が多かった。


かつて自分が日記にカキコしたことが、山田太一氏の云っていることに符合するようで、ニンマリしたというだけの話。ただそれだけのことだが、人生列車も終着駅がもうそこに見えてきている。今更、特急だ鈍行だなんて云い始めても始まらない。終着駅までに特急停車駅なんてあるはずがない。鈍行でえっちらおっちら行こう。