算額


生涯学習講座「歴史散歩」は冷たい北風の中、岡崎の六所神社岡崎城を訪ねた。この講座はサブタイトルに「家康のふるさとを訪ねる」とあるように毎回家康に関わりのある神社仏閣を巡っている。六所神社と家康の関わりは、誕生の折の産土神であったことから始まっている。楼門に上がる階段は家康の亡くなった日が4月17日であることにちなみ17段になっている。


きょう一番興味を惹かれたのは「算額」だった。神社の神楽殿の軒下に新聞紙を広げたくらいの大きさだろう。一見絵馬に似た板が掲げられている。宮司の説明では江戸時代の日本で、額や絵馬に数学の問題や解き方を記して、神社や仏閣に奉納したもので、現代でも奉納する人がいるとのこと。


およそ、神社とは縁遠い横書き、しかもアルファベットが見える。平成24年に奉納されている。「算額」なんて初めて耳にした言葉でもちろん見るのも初めてだ。もう少し詳しい内容が知りたくなった。帰宅してネット。



江戸時代、和算の世界では問題が解けたことを神仏に感謝し、ますます勉学に励むことを祈念して奉納されたと言われる。このような算額奉納の習慣は世界中をみても他に例がなく、日本独特の文化といわれる。その一部は重要文化財民俗文化財に指定されている。

明治に入ってからも昭和の初期まで和算の伝統をひいて継承された。最近、算額の価値を見直す動きが各地でみられ、算額の奉納を受け入れる神社も出てきて算額を神社仏閣に奉納する人も増えている。



最近奉納されるものは直接和算の伝統を受け継いだものではないことが多いようだ。   


科学の世界で一方ではクローン技術や人工授精で神の領域を侵しかねない世界があるかと思えば、片方では理詰めで答えを導き出して行く世界の人達が理屈とは対極にあるともいえる神のご加護を乞うような世界があるのだ。数学と神のご加護、何だか違和感を覚える。そこが、面白い。興味を惹かれるのだ。