大英帝国の虚勢?


半年間見続けた朝の連ドラ「花子とアン」の最終回を見ずして旅立ち、帰国したら「まっさん」が始まっていた。スコットランドでウィスキーの製法を学び日本でつくるという話の展開のようだ。そのスコットランドで独立の賛否を問う住民投票が行われたのが、我々が日本を離れる1週間前の事だった。


最初の宿泊地パリでのフリータイムは4人揃って、パリ北駅からユーロスターに乗りドーバー海峡を渡り英国に向かった。ユーロスター英側最初の停車駅アシュフォードまで約1時間、ローカル線に乗り換えて20分。フォークストーンで下車、バスに揺られて30分。ハイスに到着だ。ここが、きょうの目的地。世界最小の公共鉄道ロムニー・ハイス&ディムチャーチ鉄道の起終点の町だ。



開業が、1927年。全長23km。機関車が普通のサイズよりも小さく美しいので、遊園地の機関車と思いがちだが、ロムニー鉄道はれっきとした公共列車で、観光客だけでなく地元の子どもたちの通学にも利用されているそうだ。石炭を積んで煙をはきながら走る列車、その匂いが懐かしい。


遠くにドーバーの海を見ながら、近くにはイングランドならではの田園風景、忘れられない光景だ。地元の人達は人なつっこい。日本から来たと云うと皆驚く。駅前の食堂のおねぇさんに尋ねても日本人はめったに来ないとのこと。よくぞ、こんな所まで来たもんだ。この旅のリーダー、”電キチ”のプランならではフリータイムだった。



スコットランドの独立を賭けた住民投票の結果にイングランドの一般の人はどう思っているか、本当は聞き出したかった。この日は土曜日とあって、沿線の大きな駅では催事が行われていた。特に、最も保守的と思われる退役軍人のじいさん達があっちの駅にも、こっちの駅でも息巻いていた。こんな連中からホットな話題の取材をしてみたかった。


いづれにせよ、大英帝国の威信が揺らいでいるいることには違いない。EUの圏内各国間の行き来は出入国検査はなしだ。ところが、ユーロスターで英国に行く時にはパリ北駅で折り目正しい格調ある制服を着込んだ係員が検査をする。帰りにも、アシュフォードの駅でパリ北駅行きに乗り込むとき時には同様な検査がる。



こうした検査はユーロトンネルがテロの標的にならないための予防措置だと思うが、平和ボケの国からの旅行者から見ると、大英帝国はそんじょそこらの国とは違って、格式がある。だからここまでするんだ。と大英帝国の威信を世界に見せつけるためにここまでやっているような気がしてならない。


EUに加盟しながら、通貨はユーロでなくてポンド。今回我々が利用したユーレイルパスも欧州24ヶ国が加盟しているのに英国は未加盟。こんなことも考え合わせると大英帝国の亡霊に取りつかれて、ここまで虚勢を張っているのではないかとさえ思いたくなる。


※ 北欧で拾ってきた風邪が、いまだ治らず病院に行くも37度(平熱35.5度)が続いている。木曜にシンガポール行きの出発が迫っている。ひとりだけ置いてきぼりを食らうのはごめんだ。あすは一日完全休養。22日まで日記は休みます。