こわ〜い 花の都パリ


”花の都パリ”も”おのぼりさん”にとっては「こわ〜い」街だ。パリ2日目のことだ。パリ北駅からユーロスターに乗車するためホテルの近くの地下鉄駅でチケットを買う時のことだ。我がメンバーのひとりが紙幣を持って券売機の前で悪戦苦闘していると、中年の男が忍び寄り紙幣を取り上げようとするのではないか。他のメンバーでその男を取り囲み「ノン、ノン」とやったので、ことなきを得た。



悪質な輩は、紙幣をひったくって逃げるらしい。おとなしい輩はチケットを買ってくれる。そして、手助けしたからチップをくれと請求するらしい。「こわ〜い街パリ」の一発目の洗礼だった。


二発目は、その日の夕方ユーロスターでイギリスから帰りパリ北駅の中を歩いている時のことだ。3人から遅れてひとりで歩いていたKが待ってくれと声をかける。彼はジャンパーの背中に塗料を吹き付けられたようだ。中年の男が彼に塗料がついているからジャンパーを脱ぐよう促していた。脱ぐ間に懐中物を抜き取る魂胆のようだ。またも3人で「ノン、ノン」とやって事なきを得た。塗料は水性のもので、洗って流すことができた。



2発の先制パンチのせいで、以降気持ちが引き締まり何事もなく旅は続いた。(列車の遅れによるトラブルはあったが)最後の宿泊地ストックホルムを目前にして、気が緩んだのか、全行程中最難関のコペンハーゲンでのストックホルム行の列車の乗り継ぎがスムーズにいった安堵のせいか、しかも発車まで5分くらいあり他の乗客がいなかったので無防備にも一眼レフの入ったショルダーバッグを座席に置いたままホームに降り立ってコンパクトカメラで写真を撮っていた。気が付いた時には盗難に遭っていた。


麻雀で云えば、オーラスまでトップを走っていながらオーラスで満願を振り込みトップがひっくり返ったようなものだ。海外旅行での受難劇や武勇伝を皆さんから色々聞かされていたが、まさかわが身に降りかかるとは・・・。



逆な云い方をすれば、海外旅行の度に”お守り札”のつもりで1万円くらいの旅行保険を掛けていたが、今回はじめて”お守り札”が機能した。自認書をつけて請求したら2週間くらいで振り込まれてきた。


団体ツアーの場合は、アフリカのサバンナ地帯でライオンやハイエナといった外敵から身を守るためシマウマなどが群れをなして移動するのと同じで、迷子にならないように気を遣った。今回のようにアジアからやってきた年老いた4頭のシマウマがライオンやハイエナがうようよするサバンナ地帯を移動するには、よほど場数を踏んだ経験と覚悟とお守り札が必要だということを痛感した。