生涯学習講座 スウェーデン


冷たい北風、本格的な冬の到来だ。今週と来週の火曜は生涯学習講座「不思議な北の国 スウェーデン」。講師は生まれも育ちもスウェーデンの43歳男性笠松リヨタ氏。ストックホルムの大学で思想史、日本語を学び13年前に南山大学に留学。現在名古屋で北欧アンティークを扱う店、通訳、翻訳に携わっている。


                                

第1回目のきょうは人々の暮らしを中心としたテーマ。アチラ産のブルーベリーティーと先生が今朝焼いてきた手作りクッキーでのティーブレイクを挟んで、スライドを使って高福祉高負担、男女平等、移民、デザイン、日常の暮らしなど多岐に渡った話題だった。こちらから質問した「移民」と「夏至祭」について書き留めておこう。きょうはその「移民」について。



10月に訪れたストックホルムで、その治安の悪さから「平和な福祉国家」のイメージが吹っ飛んでしまった。そのことを引き合いに「移民」問題について問うた。スウェーデンは60年代の高度成長期に労働力として北欧、東欧、南欧からの移民を受け入れた。70年代以降は労働移民を制限する一方戦争や政変での難民を受け入れ、最近では内戦状態のシリアからも受け入れている。


こうして多くの移民が流入し、現在同国に暮らす人の2割が「外国生まれか両親が外国生まれ」ということらしい。その移民に対して教育や福祉などの公的サービスはネイティブの国民と同等に保障してきた。ところが、90年代前半の経済危機で失業率が大幅にアップした。移民層の失業率はネイティブの2〜3倍にのぼった。一方で、2010年に移民排斥を唱える右翼政党が、国政に進出し20議席を獲得した。                                        


バブル景気時代の日本、それも自分が住んでいた同じ団地で移住外国人の集団と右翼団体が衝突し警察隊が出動した事件が思い出される。スゥェーデンでも三大都市の近郊の労働者向けの公営団地が移民団地化し、ネイティブとの間に亀裂が生じている。その一部が反社会的行動に向かうと集団化、暴徒化しているようだ。このように拡大し続ける移民問題のひずみにどう対処するのか、スウェーデンの今後の社会動向が注目されているという。


日本も人口減少問題を抱え、経済に活力を持たせるには「移民」を受け入れることと簡単に云うけれど、余りにもお人よしに受け入れるとなると、こんな問題がある。英国でも今「移民問題」でEUから脱退するかどうかの瀬戸際に立たされている。移民問題はむつかしい。