続「作ってナンボ」「売れてナンボ」


腰痛はほぼ全快したが、眼鏡の修理は21日までかかる。青空続きの週末とは裏腹に予備の眼鏡で何ともうっとおしい日が続く。冬の澄んだ大気も予備の眼鏡のレンズを通して見るとボケて見える。そこで、カメラのレンズを通して見るとクリアーだ。きのうの朝、再び雪を頂く養老山系の登場だ。遊歩道の植え込みの寒ボケもボケどころかクリアーだ。


先週の金曜にも「作ってナンボ」「売れてナンボ」と題して朝の連ドラマッサンを引き合いに出したが、土曜日第15週の最終回は大変興味を抱いたので、再度マッサン絡みの日記になった。


というのは、このドラマは実在した人物のヒューマンドラマをコミカルなタッチで描いているが、切り口を変えてみるとビジネスドラマの側面もある。それが、土曜日のたった15分のドラマの中に凝縮されていた感がある。昭和の初期の時代の出来事だが、今の時代の経営者像とダブるところがあって、大変共感を覚えた。



北海道に渡って新事業を始める覚悟を決め、鴨居商店の大将に退職届を出し事業資金を貸してほしいと頼むマッサン。大将から諭された。技術者、研究者であるうちは、自分の目指しているものをつくればそれでいい.。(クマ註「作ってナンボ」)新しい事業を興し経営者となれば、製品が売れてその中から従業員とその家族を養える手当をしなければならない。株主に配当をしなければならない。次の事業のための蓄えもしなければならない。そういうことがわかっているのか。(クマ註「売れてナンボ」)と。


大将は、退職金名目でマッサンに10万円を渡した。鴨居商店のウィスキーも売れ行き不振。マッサンをはじめ新規の参入者がしのぎを削ることにより、ウィスキー市場が拡大する。大将にはそんな腹があった。この戦略は80年後の今まさにトヨタが打って出た手と同じでないか。


トヨタはFCV(燃料電池自動車)ミライを世界に先駆けて発売を開始した。そして、燃料電池関連の特許の無償提供を発表した。車の普及のカギを握るのは水素ステーションの普及なのだ。他メーカーにも製造を促すための戦略なのだ。トヨタ社内では特許の無償提供は反対の渦だったという。社長の決断だったという。


鴨居商店の大将にしてもトヨタの社長にしても、彼らの決断はサラリーマン経営者ではなかなかできない決断ではなかっただろうか。「創業家」という看板がさせた決断ではないだろうか?「作ってナンボ」と「売れてナンボ」の器の差。そして「サラリーマン」と「創業家」の器の差。それらの器の差がすべてに当てはまるとは思わないが、器の差が浮き彫りにされた15分のドラマだった。