社会の公器


1年で一番寒い時季と云われる大寒から立春の間、まさにその時季にあたったこの週末は意外にも最高気温10度超の穏やかな日が続いた。陽気に誘われて花木の冬芽ウォッチ。美しい女性に会って、その氏素性がわかると余計に興味が湧くものだ。それと同様、様々な冬芽に出くわしても氏素性がわからない。興味半減だ。唯一わかったのが、沈丁花だ。


春の開花ラッシュを告げる花が、あのいい匂いの沈丁花。花芽は外側がピンクで内側が白。秋にできた花芽がそのままの状態で冬を過ごしている。たくさんついている花芽の中には、この陽気で少しづつピンクの中に白が混じり始めている。来週の水曜はもう立春だ。


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労働時間の長さではなく、成果に応じて賃金を払う賃金制度(ホワイトカラーエグゼンプション)の導入について先日厚労省が案を示したことが新聞に出ていた。これに対し、N紙は働く時間が長いほど生産量が増える工場労働者と違い、ホワイトカラーの仕事は成果を時間で測れない。経済のソフト化やサ−ビス化に合わせて見直してゆくのは妥当だ。案では対象者を限定しすぎている。もっと拡大してもいい。と肯定論だ。


A紙はまったく逆の論調だ。残業してもしなくても同じなら、人は仕事を早く片付けようとし、効率や生産性が上がるはずという理屈で、経営者に都合がよすぎないないか。結局、労働者は一層の長時間労度を強いられるだけ。


それこそ、表現の自由だから新聞の論調に裏表の違いがあっても、読者がその適否を判断すればいいと思う。しかし、今回のイスラム国人質事件のような場合には、主義主張に関係なく「国是」に沿って人命救出することに国民が一体となることが最優先であることを忘れないでもらいたい。熊さん八っぁんが無責任に放言するのとは違うのだ。社会の公器なのだから。


「敵視された日本の中東支援」「『イスラム国』身代金で解放の例も」という見出しの新聞があった。「イスラム国」とは自ら以外を「すべて敵視する」特異な政治軍事的宗教活動なのだ。それにもかかわらず、見出しで日本の支援だけが敵視されたかの如く示唆したり、身代金による人質解放の可能性を暗示することは、意図的ではないにせよ、一種の利敵行為と言わざるを得ない。体制批判をすることが「正義」とでも思っているのだろうか。