お利口 タンポポ


週末は、すっきりと晴れ上がる所までは行かなかったものの、畑で農作業をしていると汗ばむほどの陽気だった。ウォーキングコースの田園地帯では、ヒバリのさえずり、けたたましいキジの鳴き声が賑やかになってきた。週が明けたけさからは冷たい雨だ。


その田園地帯と云うのが上の写真だ。ウォーキング仲間では、この景色を「三河富良野」と呼んでいる。菜の花畑がラベンダー畑にかわっていたら、もっとその感じが強いだろう。


土曜の中日夕刊の「夕歩道」欄にこんな一文が載っていた。「タンポポの花。いつの間に綿毛に変わるだろう。半分綿毛のタンポポをみたことのないのはなぜだろう。茎を折らずにしゃがんで吹くと、風に乗って遠くへ飛んだ。ありがとうと、声がした。」


メルヘンチックなタッチで文が続く。それは、それでよかろう。タンポポの綿毛を小学生の理科の自由研究的な発想で見てみようと、日曜のウォーキングでタンポポの観察をしてみた。真冬でも見かけるタンポポだが、4月に入ってからは至る所でみかけるようになった。


タンポポは開花を終えると、花茎は一旦横になり約2週間種子ができるのを待って、再び起き上がる。一旦横になるというのは、他の花の開花の邪魔にならないためだという。なんと、お利口さんだろう。そして、陽射しを浴びた種子のかたまりは、一気に綿毛に変身する。



タンポポは種子に綿毛を付けて風によって遠くまで種子が飛んで散らばるようになっている。綿毛はパラシュートの役目を果たしてくれるわけだ。右の写真は種子のかたまりが綿毛に変身中の状態のようだ。ネットで調べると約1時間で種子のかたまりから綿毛に変わるそうだ。


今、この時期に飛んだタンポポの種子が、すぐに発芽したとすると、夏場に背の高い夏草に覆われて、太陽の光を受けることができずに枯れてしまうだろう。お利口さんのタンポポはちゃんと考えている。夏草が枯れて効率よく育てる時期まで発芽時期をコントロールする機能を働かせているそうだ。



タンポポは、冬の寒さをしのぐため、葉を地面を這うようにして冷たい風を避けるとともに、一枚一枚の葉は重ならないように広げて太陽の光をたくさん受けとめるようにしている。冬の間葉を枯らして水分の蒸発を防ぎながら根に養分を蓄え続けているそうだ。


調べれば、調べるほどタンポポのお利口さんぶりに驚かされる。これからは、道端のタンポポを間違っても踏みつけるようなことはよそう。