リカバリー力

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またもや朝からの雨。寂しげに音もなく降る雨。濡れたアスファルトに貼りついている桜の花びらが乾いて吹き飛んで行く暇がないほどよく降る雨だ。来週の月曜、20日二十四節気の「穀雨」。稲をはじめさまざまな穀物の芽吹きを促す雨だと思えばありがたい雨だ。 現実に戻れば、やれ庭の草を、畑の草をとカミさんからせかされることもなくひぐらしパソコンに向かうことのできるありがたい雨だ。


日曜の朝起きたJR山手線と京浜東北線が9時間も不通になった一件。その原因が「当たり前」のことが疎かにされているなどと社会問題になりつつあるようで、それはそれでメディアの報道にまかせるとしよう。不通になったことの影響で昨年秋の欧州旅行の一件が頭に浮かんだ。




日本の列車の時間の正確さには定評があるが、欧州ではあまりほめらられない。ウィーンからベルリンに移動するときのことだ。9時32分発のハンブルグ行きがウィーン駅を出発したのが何と11時20分。ただひたすら待つのみ。お詫びの放送があったとしてもドイツ語ではさっぱりわからない。


もっとひどいのは、この列車が突然プラハで打ち切り。プラハ発15時48分のベルリン行きに乗り換えろとドイツ語での放送。同じコンパートメントのオーストラリア人のおばさんが、乗換えだよと英語で教えてくれてやっとわかった。しかし、どのホームで待つかわからず右往左往するばかり。


ヴェネッチア、ウィーン、プラハといった国際都市では多国籍の人が集まる。列車の案内などもう少し工夫があってもよさそうなものだ。プラハでベルリン行きに乗り換えた時の女性車掌に、前の列車で乗りかえの案内がなかったとクレームをつけたら、英語がわからないと逃げられた。



きのうの産経デジタル版の記事。(例の一件の)当日朝9時10分頃、JR秋葉原駅の山手線ホームでは、スーツケースを持った外国人旅行者ら数十人が状況を把握できずに立ち尽くしていた。新幹線で京都に向かうというフランス人(26)は「アナウンスが日本語だけで内容がまったくわからない。せめて英語で放送してほしい」と疲れた表情で話した。


このフランスの若者の思いはわれわれが昨秋ウィーンやプラハで体験した思いとまったく同じだ。正確な運行で世界に冠たる日本の鉄道も一皮むけば張子の虎同然。これでは訪日観光客年間2千万人のスローガンが泣く。                


先日早朝からテレビ観戦したマスターズゴルフでいい教訓を得た。一流のプロでも林の中に打ち込む。一流中の一流はそのホールをあがったときには、普段と変わらないスコア、パーにおさめている。何事にもトラブルはつきもの。リカバリー力が一流と並をわけているのだ。