広島原爆記念日


このところの天気には珍しく朝からかなり雲が多く、日差しがほとんどない。その分暑さが和らいだ感じだ。三好丘の丘陵地一帯で今年はヒマワりを栽培しているところが1ヶ所も見当たらない。例年だとテニスコートから学校の運動場くらいの広さまで3,4ヶ所はあるのに。


栽培放棄して肥料もなく、こぼれ種から咲いた痩せっぽちのヒマワり群が1ヶ所だけ見つかった。見るも無残な痩せ方だ。プロ野球往年の名捕手・監督の野村克也さんが、ライバル長島茂さんが常に華やかなスター街道を歩んでいるのを評しヒマワりの長嶋、雑草の如く歩む自分を月見草の野村と評していた。このヒマワりを見たら、今現在の長嶋さんのあの姿にダブッて見えた。



きょう8月6日は広島の原爆記念日。8月6日が来るたびに記憶が蘇ることが二つある。ひとつはこの歌だ。♪ふるさとの街焼かれ/身寄りの骨埋めし焼け土に/今は白い花も咲く/あぁ許すまじ原爆を/みたび許すまじ原爆を/われらの街に

小中学校を通じて一度も国歌君が代を歌ったことはなかったのに、特に中学時代にはロシア民謡やこの原爆許すまじ(題名は忘れて間違っているかもしれない)を何度も何度も唄わされた。いまだに歌詞がスラスラと出てくるのだ。



もうひとつは、5年前の3月にテニアン島に行ったときのツアーガイドの発言だ。クマさんの日記では8月6日が来るとすでに2回ほどカキコしているが、年々歳々考えも変わって来るので今年もカキコすることにした。


テニアン島サイパンから南へ5kmの島。広島長崎への原爆投下機の基地があった太平洋上の島だ。現地のツアーガイドが自家用車でジャングルの中まで案内してくれる。このツアーガイドは60歳前後の日本人男性。正確に言えば鹿児島生まれの米国籍。グリーンカードを取得して米国市民権を得たおじさん。


B−29が原爆を搭載したピットを見学したときこんなことを語った。広島と長崎の原爆により日本は本来ならもっと長引く戦争から早く解放された。そして、朝鮮のように分断国家にならなくてすんだ。と。彼は米国の市民権を持っているからと言って米国人ズラをして同胞に向かってそこまで言わなくてもいいものをと思いながら後味の悪いテニアンツアーだった。戦争さえなかったなら彼を憎悪することもなかった。彼を憎む前に戦争を憎むべきだ。



原爆の日を機会に脱原発を世論にアピールして行こうとしている人たちの動きが活発になっているようだ。核分裂の熱を利用した殺人兵器としての原爆と同様な熱を平和利用した発電を同じ土俵で論じることには違和感を覚える。


ある政党はきのう5日の参院平和安全法制特別委員会で、安保関連法案が成立すれば、「自衛隊が米軍の核兵器を運搬できるようになる」と主張した。法律上は可能でも、現実的にはあり得ない想定を押しつけ、広島への原爆投下70年となる6日を前に、安保法案と核兵器を結びつけたい思惑があったようだ。

きょう6日と9日は、何より原爆の犠牲者を哀悼する日でなければならない。政治利用するなんて、原爆犠牲者に失礼だ。


(原爆搭載用のピット)
滑走路の端に50m位の間隔で二つのピット(深さ3mくらいのコンクリート製の穴)がある。一基は広島もう一基は長崎に投下した原爆をB−29に搭載したピット。防弾ガラスの覆いが被せてある。