暑いうちに秋を探る 「立秋」 


しばらく続いた猛暑日もきのうは久しぶりのお休みだったようだ。灼熱の太陽が戻った。とはいえ、あす8日は二十四節気の「立秋」だ。暦の上ではもう秋だ。裏を返せば「実感ではまだ夏」とも云えるのだ。


秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる  藤原敏行




立秋といっても、空には入道雲、まだ穂も出てない青田、高校野球はきのう始まったばかり、周囲は夏一色だ。ヒマ人の平安貴族は、風の音の変化で秋の気配にはっとするそうだ。平安貴族よりは雑事も多く、エアコンのおかげで季節感に鈍感なクマさんは、それでも先ほど夕方にツクツクボウシの鳴き声に秋の気配を多少なりとも感じた。


ことほどさように、まだ暑いうちに秋を探る、寒いうちに春を探る。この季節を探ることが日本人の鋭敏な季節感の象徴ではないだろうか?そんな中で花鳥風月を愛でて詩歌、書画などが培われてきたのではないだろうか。


この写真のフジも、今の人は「狂い咲き」などと云ってネガティブに捉えているが、昔の人は「返り咲き」とポジティブに捉えている。こんなところからも、鋭敏な季節感の一端が垣間見られる。