テロ・ パリ・ ブリュッセル

小春日和もそう長くは続かない。午前中は厚い雲ながら時折青空も顔を出し、グラウンドゴルフに興じていると汗ばむほどの陽気だ。予報通り天気は下り坂。夕方には降り出した。



パリの同時テロから4日経つ。パリとともに実行グループが組織されたとみられる隣国ベルギーのブリュッセルが連日マスコミで取り上げられている。昨年パリでは治安の悪さを身を持って経験して来た。その上今年9月にはブリュッセルを観光して来た。そんなことから、今回のテロにはただならぬ関心を寄せている。


EU本部があり、グランプラス広場や小便小僧、ゴディバチョコレートで有名なブリュッセル。この都市にこんなアキレス腱があるとは観光客としてはまったくわからなかった。このテロで初めて分かった。オランダ語、フランス語が公用語で一部にはドイツ語の地域もあるという多言語国家。ここまでは、ガイドから聞いていた。



多言語、多文化ゆえに国として統制のとれた治安対策にアキレス腱があった。そこがテロリストが組織されるのには好都合で、ブリュッセルには警察の取り締まりが行き届かない地区があり、武器の売買が盛んだという。こんなブリュッセルの顔がテロで初めて知った。


国是(フランスの自由・平等・博愛から来る政治と宗教の分離)と宗教の戒律(イスラム教のスカーフ)といった互いに譲ることのできない部分の対立がテロへの引き金の一因になっていることがわかった。



移民をひとつの地域にまとめて住まわせる政策をとらないで、フランス国民に同化させることを旨としているフランス。革命で教会支配から市民の手に共和制を勝ち取ったからには政治と宗教は分離することを国是としている。移民のイスラム教徒は学校でスカーフが禁じられてている。イスラム教徒にしてみれば差別としか受け止められない。


きのうの生涯学習講座「韓国再発見」でチマチョゴリの話があった。50代の女性の先生は在日。朝鮮学校への通学はチマチョゴリだった。日韓関係が悪くなって、通学途上にチマチョゴリを切られるという事件があってからは、通学の行き帰りは私服で学校で着替えて授業中はチマチョゴリだそうだ。



イスラム教のスカーフとチマチョゴリでは宗教上の戒律と民族衣裳でレベルが違うかもしれないが、どちらも民族の矜持に関わること。絶対譲れないことだろう。知恵を出してどこかで譲らなかったら戦争が起きるかもしれない。現に起きている。今後、譲ることがひとつのキイワードになるかもしれない。


情報番組のコメンテイタ―をつとめる識者の中にはこんな人もいる。過激組織が勢力を伸ばすきっかけとなったのは、米国のイラク攻撃、それを支持した日本にも責任の一端がある。戦争法案が成立した。米仏でイスラム国への空爆を続けている。日本が後方支援に踏み切れば標的になってしまう。


つまり、「テロとの闘い」から脱落せよと云うのだ。こんな「一国平和論」が国際社会に通じると思っているだろうか。熊さん八っあんですら答えがわかる。