自分史に残る「長い一日


1週間留守して家に帰ったら師走も、はや半ば過ぎだ。この間に季節も随分動いていた。四ツ池の対岸の木々が緑から褐色に移ろい、自宅のモミジが色鮮やかに化粧直しをして迎えてくれた。


アンコールワットベトナム2都市の旅だった。ベトナムサイゴン以外は、この3月以来2度目の訪問だった。3月は多治見のガキ仲間13人での旅、今回はカミさんの兄姉妹4家族でのツアー参加だった。



幸先のよくないスタート、アグレッシブに考えれば、めったに経験できない事態に遭遇した旅行初日だった。ハノイ行の便が欠航となったのだ。自分史で5指に入るほどの「長い1日」を過ごす羽目になったのだ。


常滑のイオンがオープンしてセントレアへの道路が渋滞するので、まだ夜も明けぬ6時に家を出た。10時半フライトのベトナム航空に乗り込んだはいいが、11時になっても飛びたたない。挙句は、機体に不具合があるから降りて待ってくれだ。




搭乗待合室で待つことおよそ3時間半。欠航が決まった。添乗員から旅程は1日短縮してあすの同じ便で出発する。空港のホテルで宿泊する人には手配する。但し費用は自分持ち。旅行保険から宿泊費と食事代は出る。1日短縮した旅行費用は後日清算するとのことだった。


ベトナム航空からはセントレア内の店で使える500円の食事券がもらえただけだ。責任者が出てきてお詫びひとつもしない。これが国際ルールだろうか?飛びたってから不具合が生じて最悪の事態になったよりはまだよかったと思えということだろうか?



搭乗待合室で待つ間に航空機マニアには垂涎ものの飛行機に巡り合うことができた。欠航が決まったベトナム航空機のすぐ背後に白くて大きな変わったカタチをしているジャンボ機が停まっていた。これは飛行機の大型部品を運ぶボーイング747の大型貨物機で愛称は「DREAM LIFTER」ドリームリフター。夢を運ぶというものだ。




米西海岸ワシントン州シアトルにあるボーイング社の工場では最新鋭の「ボーイング787ドリームライナー」が製造されているが、その翼や胴体一部は中部地区の重工業メーカーが製造を担当している。それらをここからシアトルまで輸送するのがこの機の仕事だ。なおこの機は世界でも定期的に見られる箇所はとても少ないレアな飛行機で、もちろん日本ではセントレアでしか見ることができないそうだ。こんなことがなければこんなに近くで見ることができなかったドリームリフターだった。


500円の食事券1枚で誰一人文句も言わず三々五々出国ゲートに向かったのだ。20人のツアー客のうち3人はキャンセルして家路についた。そして、ホテルから出るシャトルバスで開店して3日目のだだっ広い常滑イオンの散策で夜を過ごした。なんと、長い1日だったことか。