おこしもん


概ね晴れの空。あと3日もすれば弥生3月というのに風が強く冷たい。毎年今頃になると町内の公民館で、三好丘に春を告げる風物詩「おこしもん」つくりが行われる。今年はきのうだった。地元で昔からやっておられた方をリーダーにして数人の御婦人でやっている。


そもそも、この「おこしもん」とはなんぞや?西三河尾張地方で、桃の節句に供える和菓子だ。自分もみよしに来て、はじめてこの菓子を知った。よそ者ばかりのこの三好丘では珍しさも手伝って、10年以上前からコンニャクづくり、味噌づくりとともに同じリーダーのもとで続けられている。



どうやって作るか?熱湯でこねた米粉を鯛や扇などの木型に入れて成型し、蒸し器で蒸しあげた後に食紅で着色する。または、色生地を別に作っておき、成型時に白生地と一緒に詰め込む調理法もある。後者の方が多いようだ。         


蒸したてのものや餅のように焼いたものを、砂糖醤油などをつけて食べる。ネーミングは木型から起こすからなどといわれているそうだ。内祝いや引き出物として鯛をかたどった”らくがん”や”かまぼこ”で作られた縁起物は昔からよく見かけたが、この「おこしもん」もそれらに通じるところがあるのではないか。                       



いずれにせよ、棒の手が県の無形文化財として保護されながら伝承されているのとは異なり、一個人・一女性が地域に伝わる伝統文化を気負うことなく、さらりとした態度で普及・伝承されていることに感服する。