北海道新幹線開業に思う


まずは穏やかな日和が続いた週末から今日の週明けだ。ウォーキングの道すがら、歩道の植え込みにあるミツマタの花が咲き出した。メンバーが異口同音に「まぁ きれい」。写真を撮っていたら誰かが説明していた。「枝が3本ずつ分岐しているからミツマタという。樹皮には強い繊維があり、和紙の原料になる。赤い花が咲いているからアカバミツマタ」と。


26日の土曜、北海道新幹線が開業した。テレビも新聞も、当然のことながら大きく扱っていた。名古屋の麻雀仲間で一昨年欧州鉄道旅行を企画引率してくれた”電キチ”Fも一番列車のチケットは取れなかったが、当日の他の時間で取って今北海道にいるようだ。



新聞もテレビもお祝いムード一色だ。自分が見落としているかもしれないが、ついぞ新幹線と在来線が同じ線路で走っていることに言及しているメディアにお目にかからなかった。当然地元のメディアは取り上げていただろうし、遠く離れた東海地方で鉄道に関心のない人にとってはどうでもいいことかもしれないが、無視されたようでおもしろくないのだ。


今回開通した新青森、新函館・北斗間のうち、青函トンネルを含む約80kmの区間が新幹線と在来線の共用区間三線軌条といって3本のレールがある。1対2本のレールのうち、片側のレールを共用として残り2本のレールをそれぞれのレール幅に応じて使う方式だ。この場合、幅の広い方を新幹線、狭い方を在来線が使うわけだ。



なぜ、共用などするか?関門海峡のように新幹線、在来線、国道などと何本も簡単にはトンネルを掘れない。青函トンネルは1日に旅客列車が30本に対し、貨物列車は51本。青函間の貨物輸送のうち、鉄道はフェリーに比べて季節や天候に左右されず安定的に運行できる強みもあって絶対欠かせない輸送力になっているからだ。


この線路共用には色々課題があるということは、先日雑誌で読んだ。新幹線は時速260km、貨物列車は時速110km。すれ違いの際、風圧によって貨物の荷崩れが懸念される。そこで、共用区間での新幹線の最高速度が時速140kmに抑えられている。この時速140kmのせいで、航空機との競争力の壁東京・新函館4時間を切ることができず、最速4時間2分に甘んじているというわけとのことだ。


昭和の時代に青函連絡船で4時間かけて海を渡っていた。いま4時間で東京から新幹線で函館まで行ける。明治維新のとき「坂の上の雲」を追い続けた先人たちの思いに重なるところがある。そんな気がしてならないのだ。