デトロイト美術館展


きのうのまとまった雨はどうにかあがり、午前中は今にも降り出しそうな雲行きながら持ちこたえた。午後にはとうとう、また降り出した。こんな天気にもかかわらず広い駐車場はいっぱい。豊田とか三河ナンバーより他地区ナンバーの方が圧倒的に多い。入場券を買うにも並んで買うほどだ。館内レストランでランチしようとしたら30分以上待ち。


デトロイト美術館展を開催している豊田市美術館の盛況ぶりだ。デトロイト市と豊田市の姉妹提携55周年と同美術館開館20周年・リニューアルオープン記念で先月末から開かれているデトロイト美術館展がこんなにも反響を呼んでいるとは驚きだった。麻雀仲間3人で出かけた。



この展覧会は米国を代表するデトロイト美術館所蔵6万5千点を超えるコレクションの中から19世紀後半〜20世紀前半にかけて欧州画壇で活躍したモネ、ルノワールゴッホセザンヌマティスピカソの名画52点を選んで展示したもの。これだけの”いいとこどり”はめったにあるものでない。それが証拠に、豊田の後大阪、東京でも開催されるのだ。                       


その中での目玉はゴッホの「自画像」。案内パンフレットの表紙にも公式ホームページの壁紙にも使われている。「有名画家の実物の作品に直にこの目でふれてみる」程度の関心度しかない自分が今回の鑑賞を思い立ったのはゴッホの自画像を一度自分の目で確かめたいことからだった。理由は後述の通りだ。

                      

 ゴッホ 自画像
昨年オランダ、ベルギー旅行した時にアムステルダムゴッホ美術館、アムステルダム国立美術館、クレラーミュラー美術館で随分とゴッホの作品を鑑賞した。上の写真が5年前名古屋市美術館で開かれたゴッホ展での自画像だ。撮影禁止だったので、パンフレットをスキャンしたものだ。ゴッホ美術館も撮影禁止。パンフレットを確認したら、上の写真と同じものだった。


一口に「自画像」といっても何枚もあることを自分の目で確かめたかったというわけだ。右上写真のデトロイト所蔵作品、左上写真のアムステルダムゴッホ美術館所蔵作品は似ているが別物であること。名古屋市美術館ゴッホ展はアムステルダムから貸し出されたものということだ。合点。一説には20種類くらいあるそうだ。



美術に造詣が深い人だったら、この作品がピカソのものだと知らされても驚きはないと思う。素人のクマさんは、それを知って「ええっ!これがピカソの・・・」と驚きを隠せない。あの天才は、こうしたオーソドックスな絵を究めたその先にあの抽象画に行き着いただろうと想像できる。クラシック音楽を究めた人がジャズを究めるようなものではないだろうか。


また、こんな切り口からの感想も持った。トヨタは鞍ヶ池記念館に国内外の名画を誰にでも無料で開放している美術館がある。デトロイトでは全米の自動車業界で世界有数の美術館を支えてきた。日米とも自動車産業に陰りが見え始めてきた。民間の社会貢献に支えられている文化事業にとって心配は心配だが、3年前のデトロイト市財政破たんの際、所蔵品が切り売りされることもなかったと聞く。これが、米国の底力かもしれない。