釈迦・菩提樹・夏椿


梅雨前線が停滞して梅雨の中休みも終わった。朝晩に雨が降り、日中はどんよりとした典型的な梅雨時の天気の一日だ。


有名人ともなると、ありもしないデマがまことしやかに語られて、ウソも百遍云ったら本当の話になってしまうことがよくあるものだ。先週の「季節の花めぐり」でのことだ。いま、ボダイジュと夏椿の花が咲いている。お釈迦様にまつわるこれらの花に関する言い伝えを先生から聞いた。




樹高10mほど。6〜7月頃に花が咲く。僧栄西が中国から持ち帰ったと伝えられる。釈迦はボダイジュの下で悟りを開いたとして知られるが、本当のところは、クワ科のインドボダイジュのことである。中国では熱帯産のインドボタイジュ育つわけはなく、葉の形が似ているシナノキ科のこの写真にあるボダイジュを「釈迦が悟りを・・・」に仕立てたと言われる。


中学か高校で習うシューベルトの歌曲「菩提樹」はと問うたところ、近縁のセイヨウシナノキである。とのこと。





梅雨の頃開花し、花の形が椿に似ているところから「夏椿」のネーミング。沙羅(しゃら)の木とも呼ばれる。釈迦が亡くなったとき、四方に生えていた沙羅双樹(さらそうじゅ)に間違えられそれが、そのまま日本に伝わってしまい、沙羅の木となった。ある僧が沙羅双樹は日本にもあるはずと山に入り、夏椿を見てこれが沙羅双樹と思い込んで、それを広めたという説がある。いずれにせよ、沙羅双樹は熱帯樹で日本では育たないという。


ある事柄が長い年月と距離を伝わってくるうちに、その土地に合わせたものに変わってしまうことはよくある話だ。これぞ、「諸行無常(すべてはうつり変わるもの )」であり、「諸法無我(すべては繋がりの中で変化している)」。釈迦の説くところでないか。