フジヤマのトビウオ


じりじりと焼けつくような日差し。ようやく本格的な夏が来たといった感じだ。今年も路傍や草むらで高砂ユリが咲き始めた。10年ほどウォッチしているが決まって8月第1週に咲き出す。茎の頂上に純白で細長い花を横向きにつける。花長は 10-15cm、直径 5cm ほどだ。野生の花にしては色白な花で葉ももっとすっきりして、清楚なイメージだ。


いよいよ、リオ五輪があしたから始まる。どうにか開催にこぎつけたといった感じだ。開会式前から始まるサッカーの予選リーグで日本はナイジェリアに負けてしまった。試合開始時間に現地到着ができるかと気を揉ませたナイジェリアにだ。水泳・体操・柔道・女子レスリングにメダルを期待したい。



五輪といえば、われわれが小学校低学年の時代には五輪とは全く無縁だった。昭和23年、小1のときのロンドン大会は敗戦国で招待なし。フジヤマのトビウオ古橋が前年1500m自由形で世界記録を上回る記録を出しても国際水泳連盟から除名されているため公認されない。そこで翌24年(1949)古橋をはじめとする日本水泳陣が米国の計らいで全米水泳選手権に招待された。  


数年前小学校の同窓会を開いた際に60数年前の写真やら当時の思い出の作品などを集めてスライドショーをすることになり、実行委員の連中が資料集めをした。当時、家が隣同士で小学校から大学まで同じ学校の親友I君が小学校2年生の夏休みの絵日記を提供してくれた。



夏休みの絵日記で昭和24年8月18日分の一部を原文のまま抜粋。                 


8月18日 はれたりくもったり。あめりかのろすあんぜるすのすいえいたいかいで日本のふるはしが一とうでした。二とうわはしずめでした。日本ばんざい。


これが、まだ五輪にも出場できない敗戦国日本が国際舞台で男を上げて戦後のうちひしがされた日本国民に元気を与えてくれたのがフジヤマのトビウオ古橋であり橋爪の活躍シーンだ。そのときの喜びを率直に描いた絵日記だ。  


その当時、フジヤマのトビウオ古橋と空手チョップの力道山は国民的アイドルだった。オトコのパワーだった。60数年経ったいま、英国の首相は女性に、米国の大統領も女性が有力視されている。翻って日本も東京都知事が女性に、防衛大臣も女性に。戦後、一時期「戦後強くなったのは靴下と女性」このフレーズが流行ったものだが、まだ死語にはできないようだ。